《九月十七日》この国の自己肯定が匂いたり「東京ラブストーリー」目を伏せて観る

高視聴率を誇ったTV番組「東京ラブストーリー」は一九九一年一月から三月に放送された。先週から七回目の再放送中。有名なこのドラマ、実は初めて見る。バブル末期を流れる風は今と違う。あのころ私は三十代半ばだった。

著者略歴

松平 盟子(まつだいら めいこ)

歌人、歌誌「プチ★モンド」代表

愛知県生まれ。南山大学国語国文学科卒。「帆を張る父のやうに」により角川短歌賞。歌集に『プラチナ・ブルース』(河野愛子賞)『カフェの木椅子が軋むまま』『天の砂』『愛の方舟』など。著書に『母の愛 与謝野晶子の童話』『パリを抱きしめる』など。与謝野晶子のパリ滞在とその文学研究のためパリ第7大学にて在外研究(国際交流基金フェローシップ)。現代歌人協会および日本文藝家協会会員。

 

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バックナンバー

  • 9月23日:粒餡のつぶらつぶらに光る秋こころをこめておはぎ味わう
  • 9月22日:白玉のモッツァレラチーズ秋の夜の歯にかみしめて葡萄酒ふふむ
  • 9月21日:その先へ先へと誘かれ行きしこと曼珠沙華の道とおくまで燃えし
  • 9月20日:帰りたし秋の取り組みは暮れまぢかカボチャの馬車で戻って観たし
  • 9月19日:子規の指辿っただろう地球儀の赤道という円周エンドレス
  • 9月18日:対岸の火事、海彼なる戦火、皆うんと遠くて不意に近づく
  • 9月17日:この国の自己肯定が匂いたり「東京ラブストーリー」目を伏せて観る
  • 9月16日:退け時をいつも間違う、タイミング外して今夜もバスを見送る 
  • 9月15日:栗色のパンサーと思う躍動の四肢しなやかな大坂なおみ
  • 9月14日:遠くへと歩くための靴アスファルト踏みつつ優しい靴〈募集中〉
  • 9月13日:殉死せし乃木のかたわらの妻静子「婦道」の自死のしぃんと怖ろし
  • 9月12日:ニューヨーク巨大陥没に唸る重機われも覗きし金網に寄り
  • 9月11日:真夜中の大地の揺れに傷ついた大量の蜜よ、黒葡萄ピノ・ノワール
  • 9月10日:とうめいな薄玻璃のような平穏をいちまいいちまい重ね生きるのみ
  • 9月9日:菊花茶に湯をそそぎ香り立たせたり迷いをひとつ払うわが儀式
  • 9月8日:萩中とう美しき地にいま萩はなくバスにゆられて残暑の街へ
  • 9月7日:鏡よ鏡映さなくていいグランドの半周遅れのもつれる脚を
  • 9月6日:スポーツに根性求めし昭和世代われらの確信くたばっちまえ
  • 9月5日:豪雨また烈暑に長く曝されてひと夏に朽ちる空き家の屋根は
  • 9月4日:平成の最後の夏の荒れざまをずぶ濡れの靴引き摺りながら
  • 9月3日:台風は磁力と思うジジジーと唸りつつわが頭蓋に響く
  • 9月2日:肉筆の体温とあわき湿りもて光源氏を彫りたり晶子は
  • 9月1日:震災後の帝都の果てまでさまよいし田山花袋の生白き足

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