《一月十一日》海鳴りの中なる鏡びらきかな

忌みことばは面白いなといつも思う。剃刀で剃るのではなく「あたる」、そして鏡餅を割るのではなく、ひらく。ただ、この季語、今の私には使う資格がない。姉に作って貰った「鏡餅のタペストリー」で済ませているゆえ。これは、家の者が餅をあまり食べられない体質のため、おかがみを飾った後が困るからである。

●季語=鏡開

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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  • 1月23日:雪掻のかくも静かに終りたる
  • 1月22日:まぼろしの吹雪もしくは父の齢
  • 1月21日:くれなゐは信用できず風邪薬
  • 1月20日:海見えぬ町寒紅を買ふために
  • 1月19日:竹馬や海鳴りをわが糧として
  • 1月18日:手毬麩のこまごまと浮き雪催
  • 1月17日:空港は光惜しまず阪神忌
  • 1月16日:寒鯉の子らの影にもおどろかず
  • 1月15日:餅花のしだれしだれて都心かな
  • 1月14日:成人の日やはればれと無為であり
  • 1月13日:うるはしき越前蟹をさあ食べむ
  • 1月12日:かんじきの先に無限の白さかな
  • 1月11日:海鳴りの中なる鏡びらきかな
  • 1月10日:歓声や冬たんぽぽを見つけては
  • 1月9日:寒の水かくも背筋のよみがへる
  • 1月8日:寒中の星生むジェットコースター
  • 1月7日:かがよふは七種粥のほとりかな
  • 1月6日:羽子つきの命がけなる故郷かな
  • 1月5日:初旅の大桟橋のひかりかな
  • 1月4日:当然のごとく「吹雪」と初電話
  • 1月3日:買初の猫のためなる玩具かな
  • 1月2日:駅伝や旗を振りたく叫びたく
  • 1月1日:純白のセーターに覚め大旦

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