《二月十四日》中学生うつくしバレンタインデー

開成学園との吟行。今回は本郷が起点、自宅から近くて助かる。日程表によると湯島天神もある。そう、大量の絵馬を見ることがまたできるかな、と思ったり。あの個人情報の洩れ出づる感じは悪くない。
このところ、開成の中学生の句が凄い。もちろん、高校生も頑張っているけれど、中学生の句の急速な進歩と完成度には仰天する。年寄りとしては「さすが、若いかたの感性は……」と片付けたくなるが、おそらくそうではない(感性という言葉は、何でもそれで済ませる年寄りの悪い癖)。私はかつて「若ければ新しいか」という四百字詰で十一枚ほどの評論もどきを書いたことがある。それが当時所属していた結社の評論賞にたまたまなって、それがきっかけで超有名俳人であるかたとの交流につながった。若いからいいのではない。感性とやらのおかげでもない。やっぱり、環境かしら。とにかく、若い人の伸び方の速さは恐ろしい。中学生の作品を見るたびに「引退」の二字がよぎる。

【季語=バレンタインデー】

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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