《二月十三日》一日をマスクしていて耳痛し 大いなりしよ江川卓えがわの尻は

さいたま市へ。すずめの子短歌会。桜木公民館で来月行われる文化祭の話なども出て、いつにも増して充実した会になった。文化祭では会員がそれぞれ代表歌二首を短冊に書いて展示する。それにしても代表歌を選ぶという作業はかなり大変。過去の歌を読みながら「こんな歌しかないのか……」と失望に打ちのめされてしまう。季節も大切にしたいから今回は次の二首にした。〈多摩川を越えて春蝶とべる日の戸籍係に列できており〉〈直線に吹きいし風が曲線に吹けばもう春 蝶のとぶ春〉

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 2月18日:アフリカに千年生きる蝶のこと講義のたるむ頃に話さん
  • 2月17日:今月の今夜の月の居所をまた確かめてわれ帰路にあり
  • 2月16日:大根にされた王子のものがたり大人の今も思えばかなし
  • 2月15日:ウクレレの音色のような時の過ぐ妻につがれて妻につぎつつ
  • 2月14日:照明を消して月光招きたり 浅蜊はすうと砂を吐きたり
  • 2月13日:一日をマスクしていて耳痛し 大いなりしよ江川卓の尻は
  • 2月12日:背番号1のキーパー横跳びす春の乾いたひかりのなかへ 
  • 2月11日:はよ咲けよ風待草よ 一升の越乃寒梅まだここにあり
  • 2月10日:歯ならびは母に似ておりカルシウムきょうも多めに摂って おやすみ
  • 2月9日:話したいことがたくさんあるのだよ 富士を囲んでいる冬の雲
  • 2月8日:ゆらと揺れゆらゆらと揺り返しある吊り橋をわたるごとく癒えたり
  • 2月7日:行軍がざくりざくりとやって来る降る雪の音かき消しながら
  • 2月6日:えんとつのような帽子のコック長おおきな鍋に湯気つくりおり
  • 2月5日:野の鳥の春の食事を準備中木々は花芽をふっくらさせて
  • 2月4日:戒名を母はもてども父もたず血は傷口でまず盛り上がる
  • 2月3日:痛いよと父に言わせき介護する憎しみ少しずつ晴らすべく
  • 2月2日:クレソンにまたの名がありまたの名を昨夜聞きしが今朝は覚えず
  • 2月1日:「公私ともに破綻をした」と終わりから二行目にある彼の略歴

俳句結社紹介

Twitter