《二月十四日》照明を消して月光招きたり 浅蜊はすうと砂を吐きたり

バレンタインデー。妻の友人の泉さん夫妻と二子玉川の「KUA AINA」で会い、ハンバーガーを食べる。ハワイっぽい店内、聞けばハワイに一号店があるという。納得。せっかくだから、う~んとハワイっぽいパインバーガーを食べる。夜は「心の花」に連載している「信綱の十二か月」の原稿。佐佐木信綱の歌を月ごとに分けて解説、合わせて信綱の生き方にも触れる。近代短歌の中で重要な役割を果たした信綱だがいま一つ人気がない。スキャンダラスな部分が全くないので物語に成り難いのも理由の一つだろう。時間が惜しいので酒を飲まなかったという信綱。わたしは寝酒に赤ワインを少々飲む。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

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バックナンバー

  • 2月18日:アフリカに千年生きる蝶のこと講義のたるむ頃に話さん
  • 2月17日:今月の今夜の月の居所をまた確かめてわれ帰路にあり
  • 2月16日:大根にされた王子のものがたり大人の今も思えばかなし
  • 2月15日:ウクレレの音色のような時の過ぐ妻につがれて妻につぎつつ
  • 2月14日:照明を消して月光招きたり 浅蜊はすうと砂を吐きたり
  • 2月13日:一日をマスクしていて耳痛し 大いなりしよ江川卓の尻は
  • 2月12日:背番号1のキーパー横跳びす春の乾いたひかりのなかへ 
  • 2月11日:はよ咲けよ風待草よ 一升の越乃寒梅まだここにあり
  • 2月10日:歯ならびは母に似ておりカルシウムきょうも多めに摂って おやすみ
  • 2月9日:話したいことがたくさんあるのだよ 富士を囲んでいる冬の雲
  • 2月8日:ゆらと揺れゆらゆらと揺り返しある吊り橋をわたるごとく癒えたり
  • 2月7日:行軍がざくりざくりとやって来る降る雪の音かき消しながら
  • 2月6日:えんとつのような帽子のコック長おおきな鍋に湯気つくりおり
  • 2月5日:野の鳥の春の食事を準備中木々は花芽をふっくらさせて
  • 2月4日:戒名を母はもてども父もたず血は傷口でまず盛り上がる
  • 2月3日:痛いよと父に言わせき介護する憎しみ少しずつ晴らすべく
  • 2月2日:クレソンにまたの名がありまたの名を昨夜聞きしが今朝は覚えず
  • 2月1日:「公私ともに破綻をした」と終わりから二行目にある彼の略歴

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