《三月十五日》原稿を書かねば椿朽ち始む

原稿てんこもりの一日。いったいいくつ書けばいいのだろう。
「群青」の句会の数は多くないけれど、それぞれのタイプが違う。ごくオーソドックスな句会、兼題がメインの句会、ひたすら吟行をする句会など。また、かなり中身の濃い合宿が年に二回しっかりとある。ついでに言えば(やや個人的なつながりではあるけれど)某学園の合宿が何回かある。さらにいえば、有志によるやや裏合宿などもある。
ここ二年、正直言って個人的なスケジュールはかなりきつかった。でも、もうヒマになる。暇そのものの時間、それこそがわが人生。手帳の予定をぎっしり詰めたところで、幸福などやってこない。

●季語=椿

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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  • 3月25日:あらあらとさくらさくらと褒めそやす
  • 3月24日:連翹と高校生の匂ひかな
  • 3月23日:栄冠はゆつくりと来る夕桜
  • 3月22日:時刻表より滔滔と春の水
  • 3月21日:春分の日のおほどかな鳩時計
  • 3月20日:彼岸過にあらねど雲のうつくしく
  • 3月19日:町名のゆかしうるはし月日貝
  • 3月18日:すでに春休だれにもはばからず
  • 3月17日:沈丁のこれはゆふべの火の匂ひ
  • 3月16日:遠くよりわが名きみの名椿餅
  • 3月15日:原稿を書かねば椿朽ち始む
  • 3月14日:ミモザまたミモザやさしき人の上に
  • 3月13日:ゆつくりと空は流れて蕨餅
  • 3月12日:少しだけ歯科医に恋を花辛夷
  • 3月11日:ヒヤシンス地震に酔ふは怖ろしく
  • 3月10日:同級生らしきを探す初桜
  • 3月9日:赤き花あれば振り向く卒業期
  • 3月8日:生協の届けてくれるチューリップ
  • 3月7日:遺影とてこんなに若し桜漬
  • 3月6日:千分の一のひかりを柳の芽
  • 3月5日:受賞者にあらねど春ショールの光
  • 3月4日:カーテンにわが猫の影雛納
  • 3月3日:雛の日のゆるゆる匂ふ醤油かな
  • 3月2日:鶴引くやみづの匂ひをしたたらせ
  • 3月1日:留守番の猫に猫雛かざりたる

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