《五月十六日》遠くよりわが名きみの名椿餅

「群青」の外郭団体ふうの句会。一人の自分に戻れるようで嬉しい。あ、もともと一人の、素顔しか持たない自分ではあるのだけれど。今回はお試しとして、いわゆる「群青ハウス」で行う。
このところ、このハウスを綺麗にすべく通っていた。私にはおかしな性癖(?)があり、「借りたものは元の状態より綺麗にして返さねば」と思い込んでいる。ホテルに泊まった時も同様で、ペットボトルのプラのカバーはきちんと取り外すし、タオル類は一か所にきっちりまとめるし、部屋を後にする時に「さようなら」と言いつつチェックアウトする。
だから、借りた部屋をぞんぶんに汚して去った人のことは全く理解できない。かつて大家業(小規模な不動産賃貸業)をしていたせいだろうか。

●季語=椿餅

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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  • 3月16日:遠くよりわが名きみの名椿餅
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