《三月十七日》沈丁のこれはゆふべの火の匂ひ

「群青」の「ぶぎん会」。今回は深大寺である。朝起きるのは死ぬほど嫌い、時間を区切られる吟行も嫌い。しかし、そんなことを言ってられない。以前は気の向いた時にこの吟行に参加しようと思っていたが、「一応、私は代表ではないか??」と思って以来、できるだけ参加するようになった。でも、……遠いです。
私は、山手線の外側の句会には本来参加しない。どれもこれも遠すぎて。何年も前、谷雄介君あたりから句会のお誘いを頂いた時、「それって、山手線の中?外?」と尋ねて大顰蹙を買ったぐらいだ。
「群青」のやや大きい吟行で、しかもかなり郊外の場合、私はホテルの部屋を取ることがある。しかし、そのほとんどが「!!!!」と絶句するしかないしろもの。まともな掃除をしていない部屋、朝食のかちかちのパン等、エッセイのネタになるものがたくさん。

●季語=沈丁花

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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  • 3月17日:沈丁のこれはゆふべの火の匂ひ
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  • 3月15日:原稿を書かねば椿朽ち始む
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