《四月十六日》よろずやと来るひとびとに呼ばれつつあずまや今日も庭園にあり

休み。とは言え、原稿を書いたり短歌を作ったり。仕事と休みと遊びの境目が自分でもよくわからない。でも、眠くなったら昼寝が出来るので、出勤するのとは明らかに違う。
夜は旬のものをたくさん入れて野菜炒めを作る。切ったり炒めたりしていると疲れが取れる。料理をするようになって五十年経つが、生のホワイトアスパラガスを料理するのは初めて。缶詰と違って歯ごたえがある。ホワイトアスパラの旬は春。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

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バックナンバー

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  • 4月22日:藤の咲く場所はいくつか知っている行きは歩きの帰りはバスの
  • 4月21日:海棠を今日は見ずとも デパートを通り抜ければ駅へは近し
  • 4月20日:自転車をかついでわたる歩道橋もりもり夏になってゆく雲
  • 4月19日:そら豆の季節そろそろはじまるか そら豆のため塩をえらびぬ
  • 4月18日:どんぶりをはみ出す海老の尻尾たち昼に混み合う店を行き来す
  • 4月17日:見つかった迷子が抱きつく母の腰八重の桜もそろそろ終わる
  • 4月16日:よろずやと来るひとびとに呼ばれつつあずまや今日も庭園にあり
  • 4月15日:万葉集巻五を入れて諾々とわれの鞄は江ノ島に来つ
  • 4月14日:多摩川のむこうに見ゆる河原の男よ春の三塁に死す
  • 4月13日:平成の世ではふたたび会えぬ人なれど別れる中野の駅に
  • 4月12日:霞む朝バスを動かす人のあり鏡を使いうしろにさがる
  • 4月11日:快速に乗りたるわれの「あ~」の声 まわりの人は事情を察す
  • 4月10日:ガス代は〈お得〉となりてアネモネの五色の花が部屋に飾らる
  • 4月9日:令和二十三年三月令和大首席卒業山本令和
  • 4月8日:まなうらに草間彌生の水玉の描かれてゆくくすりをさしぬ
  • 4月7日:カーテンを西へ横切る鳥影に起こされている日曜の朝
  • 4月6日:春の紅茶を買う自販機にほんのりといかされている古典力学
  • 4月5日:修道院のごとく静けしスイッチを押して間もなき炊飯器見ゆ
  • 4月4日:体だけ寝ている夜をおりおりに聞こえてきたり春の風の音
  • 4月3日:はなびらを食べるから鳥は飛べるのと生徒会長きみは言いしか
  • 4月2日:〈花疲れ〉むしろ疲れの心地よく酔いの醒めればまた買いに行く
  • 4月1日:副作用ならん 昨夜も母に手をひかれてわたる春泥の橋

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