《五月十七日》君たちは気が合いそうだ 竹の子と黒霧島を卓にならべる

休み。ぼんやりとDVDを観て過ごす。木下恵介の「カルメン故郷に帰る」と「新 喜びも悲しみも幾年月」。「新」とついた作品は佐田啓二と高峰秀子が出演した一九五七年版を加藤剛と大原麗子で新しく撮り直したものと思っていたのだが違った。灯台守の夫婦という点は同じだが、時代設定が昭和五十年代。全体の色調が明るく、加藤剛の父を演じる植木等の老いと死に焦点を当てている。進みつつあった高齢化社会を意識したような内容。
竹の子をいただいたので若竹煮を作る。そろそろ竹の子のシーズンも終わる。今年もよく食べた。食物繊維が多いからかも知れないが、食べると体が浄化される感じがする。竹がある国に生まれて良かった。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

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バックナンバー

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  • 5月19日:引用の歌を怪しみ書庫へ行く明治三十一年へ行く
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  • 5月17日:君たちは気が合いそうだ 竹の子と黒霧島を卓にならべる
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  • 5月14日:わが家より数えてみれば二百五歩 町のポストを今朝は素通り
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  • 5月4日:充血は充実ならず夜を明かし鏡にうつすひだりのまなこ
  • 5月3日:十八の夏思い出すとき来たり生きつつ汗の胸を拭えば
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