《五月十八日》つくづくと早足であり朴の花

「群青」の鍛錬合宿の一日目。今回は奥多摩である。十一月の合宿が「吟行合宿」という名であるのに対し、五月の合宿は「鍛錬合宿」、その響きすらおそろしい。もちろん、五月も十一月同様、じゅうぶん吟行をするが、「参加者による事前の五十句出し」があるのが特徴である。佐藤郁良さんと私と記録係の瞳さんは五十句を出さないが、事前に読んできて、吟行句会のほかに深夜の批評会をしなければならない。ハード。
通常の吟行などでもそうだが、種々の合宿で、郁良さんはその企画力を発揮する。足の確保、昼食のための店の候補、句会場を遅くまで使わせてくれる宿、……などなど、まず大枠(というには綿密)を決め、次に下見をしっかりする。そうすれば、公共機関を乗り継ぐよりも貸切のミニバスの方が効率がいいとわかったり、近くにある二つの寺のうち、どちらがより吟行に値するかがわかったりする。三月に「下見見学」(下見をするスタッフの様子を勝手に私が見学)してみて、おおいに納得した。郁良さんはパーフェクトだ。彼なら、どんな職種でも一流になれたに違いない。早足であるし。

【季語=朴の花】 

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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