《六月十二日》夏場所は五月なりけり日本の弱冷房車に冷やされており

浦和市民会館へ。心の花会員の小木曽友さんの第一歌集『神の味噌汁』の批評会。
三十人が集まる。参加者全員が言いたい放題の会である。
小木曽さんは八十代半ば。奥様は書家(小木曽青壺)であり「心の花」に所属した歌人(沢木あや子)であった。奥様が生きているときは短歌を作ろうと思わなかったが、遺志を受け継ぐ形で歌いはじめて八年。
小木曽さんに師匠と呼ばれるようになって三年になる。三年間の小木曽さんの努力はすごかった。毎朝、名歌を数首ずつ書き写したという。昔は当たり前だった歌の書き写し、最近は流行らないけど、歌の勉強には一番良いと思っている。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 6月16日:東西に、南北に、雲ひろがりぬ梅雨どきの髪まとまり悪し
  • 6月15日:あじさいの白のくわっと咲きはじむ不倫を責めて許すこの国
  • 6月14日:西日さす部屋に戻りぬ今日はまだ五百カロリーとれるわたしが
  • 6月13日:食材はきのうもきょうも二人分 薄皮むけばたまねぎ白し
  • 6月12日:夏場所は五月なりけり日本の弱冷房車に冷やされており
  • 6月11日:六月の職場に傘の二、三本置きて勤しむ忠兵衛のごと
  • 6月10日:もう一部屋ほしい暮らしの行きどころ玄関の本くずれてドドド
  • 6月9日:盛大に鯖を焦がして今宵あり うわの空には半月のうく
  • 6月8日:海暮れて町も暮れたり ひかり待つ熱海の駅の流れ解散
  • 6月7日:買いに来て買う決心の揺らぎおり孫の代まで切れる包丁
  • 6月6日:塩ふればトマトの甘味の引き立つを明日の仕事に役立てんかな
  • 6月5日:余熱にて豆をふっくら仕上ぐべし 大事なことは母より聞きぬ
  • 6月4日:あした行く町に出ている傘マーク斜めより降る雨を受けつつ
  • 6月3日:くりかえす修正液の重ね塗り 「ます」が「ません」に「ません」が「ます」に
  • 6月2日:センターの定位置よりもレフト寄り白詰草のはなむらのあり
  • 6月1日:映画祭が近づいている 改札を通るたびオードリーに見つめられおり

俳句結社紹介

Twitter