《六月十四日》西日さす部屋に戻りぬ今日はまだ五百カロリーとれるわたしが

青山で講座。終わってから、小説を最近は読んでいないなあと思いつつ書店を巡る。が、気乗りがしない。湿度が高いせいだろう。暑さにめげず新潮文庫の夏の百冊を読んでいた若い日々が懐かしい。
テレビをあまり見ない私が本を読みたくないときは、DVDを見ながら飲んで食べるしかない。小津安二郎監督の「お早よう」と成瀬巳喜男監督の「浮雲」を観る。他にはハイボールと串カツとピクルスと冷やしきつねそば。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

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バックナンバー

  • 6月16日:東西に、南北に、雲ひろがりぬ梅雨どきの髪まとまり悪し
  • 6月15日:あじさいの白のくわっと咲きはじむ不倫を責めて許すこの国
  • 6月14日:西日さす部屋に戻りぬ今日はまだ五百カロリーとれるわたしが
  • 6月13日:食材はきのうもきょうも二人分 薄皮むけばたまねぎ白し
  • 6月12日:夏場所は五月なりけり日本の弱冷房車に冷やされており
  • 6月11日:六月の職場に傘の二、三本置きて勤しむ忠兵衛のごと
  • 6月10日:もう一部屋ほしい暮らしの行きどころ玄関の本くずれてドドド
  • 6月9日:盛大に鯖を焦がして今宵あり うわの空には半月のうく
  • 6月8日:海暮れて町も暮れたり ひかり待つ熱海の駅の流れ解散
  • 6月7日:買いに来て買う決心の揺らぎおり孫の代まで切れる包丁
  • 6月6日:塩ふればトマトの甘味の引き立つを明日の仕事に役立てんかな
  • 6月5日:余熱にて豆をふっくら仕上ぐべし 大事なことは母より聞きぬ
  • 6月4日:あした行く町に出ている傘マーク斜めより降る雨を受けつつ
  • 6月3日:くりかえす修正液の重ね塗り 「ます」が「ません」に「ません」が「ます」に
  • 6月2日:センターの定位置よりもレフト寄り白詰草のはなむらのあり
  • 6月1日:映画祭が近づいている 改札を通るたびオードリーに見つめられおり

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