《七月十三日》弾らしきものはらはらと夜店かな

東京でははやばやとお盆。いや、それよりも祭である。
射的が大好き。これは郷里で「射倖心をあおる」として完全に禁止されたから。色褪せたトランプやどこのメーカーのものかよくわからないキャラメル等を誰が欲しがる?ものが欲しいわけではない。ただ、わくわくしたいだけなのに、昭和の余市の生真面目な先生方は、青少年の健全な育成のために射的を禁止した。だから、上京して以来、機会があればあのコルクの弾を打つようになってしまったのである。
年に四、五回、蝦夷句会のために帰郷した時、小樽のクレーンゲームの殿堂を義兄・姉とともに片っ端から試す。縫いぐるみやミニサラミなどを得るけれど、どうもすっきりしない。そこには「撃ち落とした」という喜びがないからかもしれない。
実家のかつての商売ゆえか、この東京のマンションの室内にもマシンガンのかなり大きなレプリカ(泥棒よけのために父から貰ったもの)や、ソフトな弾をこめればいつでも発射できる「鳥威し」によさそうな銃がある。「俳人は平和を願うべきなのに」というお叱りを受けそうだが、「撃ち落とす行為」には不思議な興奮がある。ご容赦願いたい。

●季語=夜店

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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