《八月十四日》うなされてみずから起きるあさまだき蟻に首から下を食われき

いったいどれくらいになるだろう? ひと月か、ふた月か、ずっと脳の中で鳴り続いている音楽がある。椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」である。
まあ、こういうことって昔からよくあって、谷村新司だったり中島みゆきだったりサザンオールスターズだったりするわけ。で、歌えるかというと歌えなくて、全部の歌詞を知っているわけではないし、ただ曲の一節が壊れたレコードのように繰り返し繰り返し鳴っている。では、「獣ゆく細道」のどのあたりか具体的にいうと、宮本浩次が髪を掻き毟り、ネクタイを振り解こうとするあたり。
無性にフライドチキンにむしゃぶりつきたくなったので、ケンタッキーに行き、むしゃぶりついて来る。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

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