《八月十六日》幸せが欲しいとひぐらしのほとり

お盆の最終日兼俳句甲子園の前夜祭とも呼ぶべき日。今年はごくゆっくり出発する便に乗り、ゆっくりと松山に着く。松山で何をするわけでもない。ただ、応援するチームのOBにひたすら夕飯を食べさせる、それがわが役割である。ここ数年、夜間の用も増えたけれど。
彼らは高校時代、苦労した。そして、大学に入ってからは、後輩の面倒をみるためにわざわざ松山に行ってくれる。私はおいしいものを食べさせなければならない。
七年前、単なる応援する客として松山に行った時は暢気だった。観戦そのものはかなり緊張したけれど、夜は友人とふらっと飲みに行った。そういえば、金曜に着いた時は、松山城に行ったりミュージアムに行ったり、試合以外はふらふら遊んでいた。道後温泉にも行った。
いつから、こんなことになったのだろう。

●季語=蜩

著者略歴

櫂 未知子(かい・みちこ)

一九六〇年、北海道生まれ。「群青」共同代表、「銀化」同人。公益社団法人 俳人協会理事。公益社団法人日本文藝家協会・国際俳句交流協会各会員。
句集に『貴族』(第二回中新田俳句大賞受賞)・『蒙古斑』、第三句集『カムイ』にて、第57回俳人協会賞、第10回小野市詩歌文学賞を受賞。句文集に『櫂未知子集』、著書に『季語の底力』(第十八回俳人協会評論新人賞受賞)『食の一句』『言葉の歳事記』『季語、いただきます』、共著に『第一句集を語る』などがある。

 

 

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バックナンバー

  • 8月18日:はつあきや虹色の鯛前にして
  • 8月17日:しろがねの玉はらはらと秋扇
  • 8月16日:幸せが欲しいとひぐらしのほとり
  • 8月15日:蚊にどこか似てゐる数機敗戦日
  • 8月14日:虫の音や同窓会の煌々と
  • 8月13日:つくづくと余市は遠し盂蘭盆会
  • 8月12日:機影その淡きを惜しむ秋はじめ
  • 8月11日:盆棚の何か足りなき心地かな
  • 8月10日:朝顔や締切てふはいきもので
  • 8月9日:あどけなき猫の散らばり長崎忌
  • 8月8日:ちぎるべく仏蘭西麺麭や今朝の秋
  • 8月7日:高原に遊子のこころ夏惜しむ
  • 8月6日:鉄板より薄き煙や広島忌
  • 8月5日:性格はたぶんお七で夜の秋
  • 8月4日:夜濯やスイッチその他思ひつつ
  • 8月3日:三毛猫の粉砕せむと立版古
  • 8月2日:幾重にも虚栄のひかり花氷
  • 8月1日:短髪のものたりなさや夏帽子

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