《十一月十日》熱血がどうにも苦手 霜月に千両万両あかく色づく

ラグビー映画「タックル天国」の監督をしているという夢を観た。舞台となるのは敗けてばかりの大学ラグビー部。部員全員トンガからの留学生なのだが、みな揃ってラグビーをやったことがない。どちらかといえば虚弱なタイプ。トンガの人は誰も彼もがラグビーをやっていると思い込んでいた監督が手当たり次第に呼び寄せた。それでもそれなりに練習を積み、チーム一丸となって早稲田戦に臨んだものの300対0で敗けてしまう。選手は意気消沈し、トンガに帰ると言う。追い打ちをかけるように監督が病に倒れ、余命半年と宣告される。
大ピンチのラグビー部。そこに救世主が現われた。船越栄一郎が演じる法学部教授だ。教授の熱血指導によってチームはみるみる強くなる。ラストシーンの明治戦は大雪の降る中の撮影となった……目覚ましが鳴る時間が来ていたのだった。

著者略歴

藤島 秀憲(ふじしま ひでのり)

歌人、「心の花」編集委員

1960年、埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業。「日本語の変容と短歌――オノマトペからの一考察」により現代短歌評論賞。第1歌集『二丁目通信』により現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞。第2歌集『すずめ』により芸術選奨文部科学大臣新人賞、寺山修司短歌賞。現在「歌壇」「うた新聞」「現代短歌新聞」にエッセイを連載。現代歌人協会会員、NHK学園短歌講座専任講師。

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 11月16日:木に実る実りを捥ぐは常たのし妻の実家に脚立をたてる
  • 11月15日:霜月のひかりあまねき川の面を昼に浮き寝の鴨は流るる
  • 11月14日:始まりも終りもあらぬ横長の雲を見てゆく秋の電車に
  • 11月13日:鵜をまねて鴉も黒く多摩川の中洲に立てり溺るるなかれ
  • 11月12日:あんちゃんよぉとわれに絡みし酔っ払い昭和の金歯ぎらり光らせ
  • 11月11日:ぬばたまの夜の銀座のポッキーはオードブルにて高嶺なりにき
  • 11月10日:熱血がどうにも苦手 霜月に千両万両あかく色づく
  • 11月9日:首をかけ守るべきものわれになく腕立て伏せは五回が限度
  • 11月8日:インフルエンザの予防接種のかえりみち散財をせり微熱あるらし
  • 11月7日:焼酎のロックに酔わぬ夜のあり父よ酔わぬは苦しかりけん
  • 11月6日:ひざこぞう見せてジーンズはく人に席を譲られ素直にすわる
  • 11月5日:荒れる胃を治さんがため昨日より小心者をわれは治しぬ
  • 11月4日:さす傘に首から上は濡れざれど日本の雨ががむしゃらに降る
  • 11月3日:晩秋の空に雷鳴どよめきぬ「行く」を逆さに読むならば「悔い」
  • 11月2日:さざんかの長き垣根に囲まれて父母の墓所あり水の匂いす
  • 11月1日:散り敷ける花は香らずとうとうと金木犀が晩秋に入る

俳句結社紹介

Twitter