《一月十四日》枯芝を逃げに逃げたり本命馬

昨日、「数え年」に触れたが。生まれた時が「一歳」というのは、なかなか人間的とも言える。つまり、産まれ出るときには既に「一歳」という段階まで育っていますよ、と胎内での十ヶ月を織り込んであるともとれるからだ。ただし、これは「ゼロ」という概念があっての話。
 人間の他に「数え年」なのは「お馬さん」。「ダービー」への出走資格は「明けて三歳」と決まっている。学齢のように四月二日と強引に決めているものもあるのだから、みんなが一斉に一歳加齢するのも困ったことではない。 俳句仲間のI女史は大の競馬ファン。吟行に現れない日はおおむね競馬場にいるらしい。

●季題=枯芝

著者略歴

本井 英(もとい・えい)

一九四五年、埼玉県生まれ。 「夏潮」主宰・「珊」同人。大磯鴫立庵 第二十三世庵主。

句集に『本井英句集』・『夏潮』・『八月』 ・『開落去来』。著書に『虚子渡仏日記 紀行』・『虚子散文の世界へ』(第三十二 回俳人協会評論賞)ほか。

 

 

 

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バックナンバー

  • 1月18日:寒鯉のブルーブラック日がつつみ
  • 1月17日:書き割りの富士はしけやし初芝居
  • 1月16日:絨毯にこぼす足音猫のくせに
  • 1月15日:谷戸奥に藁屋根ひとつ小正月
  • 1月14日:枯芝を逃げに逃げたり本命馬
  • 1月13日:しらじらと成人の日も晴れ上がり
  • 1月12日:どんど焼きに浜の夜空の焦げに焦げ
  • 1月11日:噴泉にまぬかれがたく雪降り込み
  • 1月10日:水餅や流しの下の暗がりに
  • 1月9日:マフラーを鼻まで巻いて夜の町を
  • 1月8日:猿曳や若き身空を薄着にて
  • 1月7日:よそはれしままに冷めけり薺粥
  • 1月6日:身にそひし町暮らしかな寒雀
  • 1月5日:うた歌留多うしとみしよは憂きままに
  • 1月4日:吟味するごと裏返す賀状かな
  • 1月3日:初夢の中や絶体絶命に
  • 1月2日:寝そびれてをりて食積せせるかな
  • 1月1日:陸を祝ぎ海を祝ぐなり初御空

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