《一月十五日》谷戸奥に藁屋根ひとつ小正月

星野立子先生がお元気だった頃、一月十五日は立子を囲む若手の会、「笹子会」の新年句会の日だった。鎌倉笹目の俳小屋に伺って楽しい一時を過ごす。笹目の谷戸のどんづまりにある、藁屋根がその俳小屋。幹事役に成瀬正俊、佐藤石松子、長老格に藤松遊子、高田風人子、井上花鳥子、ご婦人では今井千鶴子、副島いみ子、嶋田摩耶子、若いのに杉本零、丸井孝、京極高忠、柴原保佳などといったメンバーが中心だった。私は飛び抜けて若い小僧だった。戦後の「虚子」の薫陶をも得て、「虚子」を伝えるべき人々であったのだが、果たして何を伝え得たか。

●季題=小正月

著者略歴

本井 英(もとい・えい)

一九四五年、埼玉県生まれ。 「夏潮」主宰・「珊」同人。大磯鴫立庵 第二十三世庵主。

句集に『本井英句集』・『夏潮』・『八月』 ・『開落去来』。著書に『虚子渡仏日記 紀行』・『虚子散文の世界へ』(第三十二 回俳人協会評論賞)ほか。

 

 

 

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バックナンバー

  • 1月18日:寒鯉のブルーブラック日がつつみ
  • 1月17日:書き割りの富士はしけやし初芝居
  • 1月16日:絨毯にこぼす足音猫のくせに
  • 1月15日:谷戸奥に藁屋根ひとつ小正月
  • 1月14日:枯芝を逃げに逃げたり本命馬
  • 1月13日:しらじらと成人の日も晴れ上がり
  • 1月12日:どんど焼きに浜の夜空の焦げに焦げ
  • 1月11日:噴泉にまぬかれがたく雪降り込み
  • 1月10日:水餅や流しの下の暗がりに
  • 1月9日:マフラーを鼻まで巻いて夜の町を
  • 1月8日:猿曳や若き身空を薄着にて
  • 1月7日:よそはれしままに冷めけり薺粥
  • 1月6日:身にそひし町暮らしかな寒雀
  • 1月5日:うた歌留多うしとみしよは憂きままに
  • 1月4日:吟味するごと裏返す賀状かな
  • 1月3日:初夢の中や絶体絶命に
  • 1月2日:寝そびれてをりて食積せせるかな
  • 1月1日:陸を祝ぎ海を祝ぐなり初御空

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