《八月二日》底紅の紋所にぞせまほしき

コロナ・ウイルスがなかなか執念深く流行っている一方、集中豪雨その他災害も、お目こぼしという訳にもいかず、列島を襲ってくる。そうした事件の報道で気になる表現に「不明」がある。新聞報道などで、「行方不明」と表現すべきところを単に「不明」としている場合を見かける。たとえば「不明老女、遺体で発見」のように。しかし「不明」には「いたらない」とか「識見の無い」といった意味もあり、これでは「行方不明」になった「おばあちゃん」の方に大いに問題があったかのようにも聞こえてしまう。踏んだり蹴ったりだ。無理に略さないで「行方不明」と言って欲しいところだ。●季題=木槿

著者略歴

本井 英(もとい・えい)

一九四五年、埼玉県生まれ。 「夏潮」主宰・「珊」同人。大磯鴫立庵 第二十三世庵主。

句集に『本井英句集』・『夏潮』・『八月』 ・『開落去来』。著書に『虚子渡仏日記 紀行』・『虚子散文の世界へ』(第三十二 回俳人協会評論賞)ほか。

夏潮HPはこちらより。 

 

 

 

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バックナンバー

  • 8月7日:煮南瓜を愉しく喰らひ老いけらし
  • 8月6日:おしろいの幼きころのままの赤
  • 8月5日:星飛ぶやなでふことなく夜は更けて
  • 8月4日:花臭木に蝶のせはしや浮かび沈み
  • 8月3日:稲妻が走るたび顔見合はせて
  • 8月2日:底紅の紋所にぞせまほしき
  • 8月1日:裏庭に桐の一葉のいたる音

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