《八月二日》尾を垂らし狸あらはれつくづくと吾を見てをり吾になき尾を

裏の藪からときどき狸が出て来る。小さな家からときどき私も出てみる。そして出会う。

著者略歴

川野 里子(かわの さとこ)

歌人 歌誌「かりん」編集委員

1959年大分県生まれ。千葉大学大学院修士課程修了。読売新聞西部歌壇、日本農業新聞選者など。立正大学、放送大学非常勤講師。平成20年度、21年度NHK教育放送「NHK短歌」選者。

歌集に『太陽の壺』(第13回河野愛子賞)、『王者の道』(第15回若山牧水賞)。『硝子の島』(第10回小野市詩歌文学賞)、『歓待』など。評論集に『幻想の重量―葛原妙子の戦後短歌』(第6回葛原妙子賞)、『七十年の孤独-戦後短歌からの問い』、『鑑賞 葛原妙子』(笠間書院)など 。

 

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バックナンバー

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  • 8月4日:緑のタヌキも赤いキツネもまちがへて化けたままなりコンビニの棚
  • 8月3日:狸あらはれ総理大臣あらはれぬこの国病みて泥水のなか
  • 8月2日:尾を垂らし狸あらはれつくづくと吾を見てをり吾になき尾を
  • 8月1日:泉のやうに老衰の母のありしことふくふくとなにか想ひゐしこと

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