《十月十八日》作庭家たるを夢見て式部の実

「山雀のをじさんが読む古雑誌虚子」。『六百五十句』所収、昭和二十五年十月二十六日の作で「物芽会角正」と注がある。「角正」は鎌倉八幡宮三の鳥居の脇にあった老舗の旅館。そして問題なのが「山雀のをじさん」。私はこの「をじさん」を憶えている。八幡様の境内で自転車の荷台に鳥籠を載せて、「山雀のおみくじ」を売っていた「をじさん」。今では野鳥を飼うことすら禁じられていて、「山雀のおみくじ」自体が無くなってしまったが、昔は洵に可愛いものであった。いまにこの句、判る人が居なくなるかもしれない。●季題=実式部

著者略歴

本井 英(もとい・えい)

一九四五年、埼玉県生まれ。 「夏潮」主宰・「珊」同人。大磯鴫立庵 第二十三世庵主。

句集に『本井英句集』・『夏潮』・『八月』 ・『開落去来』。著書に『虚子渡仏日記 紀行』・『虚子散文の世界へ』(第三十二 回俳人協会評論賞)ほか。

夏潮HPはこちらより。 

 

 

 

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バックナンバー

  • 10月20日:黒土をほろほろ抱いて落花生
  • 10月19日:残業やべつたら市も素見して
  • 10月18日:作庭家たるを夢見て式部の実
  • 10月17日:村祭コンビニ前に屋台出て
  • 10月16日:破芭蕉なほ玉巻くもありながら
  • 10月15日:夜寒さをさらにソーシャルディスタンス
  • 10月14日:鰯群れてししむらだてる海面かな
  • 10月13日:池上は気風下町御命講
  • 10月12日:五十雀とてもをるなる四十雀
  • 10月11日:昃れば心許なの紅葉狩
  • 10月10日:摘みとりて棗三つ四つおてのくぼ
  • 10月9日:今年はも菊人形もマスクして
  • 10月8日:鶺鴒のとどまり浮かぶとき大き
  • 10月7日:下り簗降れば鰻もまじるべく
  • 10月6日:別荘の売りに出てゐる通草かな
  • 10月5日:稲雀湧いて大きくゆがみけり
  • 10月4日:桜紅葉日露戦役忠魂碑
  • 10月3日:いつの間に消えし雨音濁酒
  • 10月2日:撮り鉄が並ぶ川端秋の晴
  • 10月1日:赤い羽根議員バッジを目立たする

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