
《十二月六日》線路にもホームにも霜生きぬかねば
中村与謝男
この句は中七の下で切れる。「生きぬかねば」ならないのは、言うまでもなく〈私〉だ。寒く冷たい夜が明け、駅のホームや鉄の線路が真っ白な霜に包まれている。それはまるで、遥々と広がる死のイメージと言うべきか。そこに立つ〈私〉は、〈生〉を請け負うかのような存在だ。まるで〈生きる〉ことが使命であるかのような──〈生〉の〈身代わり〉としての。
(『楽浪』二〇〇五年八月刊行) 季語=霜(冬)
無断転載・複製禁止
この句は中七の下で切れる。「生きぬかねば」ならないのは、言うまでもなく〈私〉だ。寒く冷たい夜が明け、駅のホームや鉄の線路が真っ白な霜に包まれている。それはまるで、遥々と広がる死のイメージと言うべきか。そこに立つ〈私〉は、〈生〉を請け負うかのような存在だ。まるで〈生きる〉ことが使命であるかのような──〈生〉の〈身代わり〉としての。
(『楽浪』二〇〇五年八月刊行) 季語=霜(冬)
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