《五月二十六日》遺品なる勲章恋文青あらし

鳩山会館。
内閣総理大臣を務めた鳩山一郎の旧居が一般公開されている。ここの薔薇園もそろそろ見頃である。

著者略歴

藺草慶子(いぐさ・けいこ)

1959年東京都生まれ。大学時代、山口青邨に師事。現在「秀」「星の木」所属。句集に『鶴の邑』『野の琴』(第二十回俳人協会新人賞)『遠き木』『櫻翳』(第四回星野立子賞)がある。

 

 

 

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バックナンバー

  • 5月29日:倒木に尽きたる径や山椒魚
  • 5月28日:近道といふまくなぎの立つところ
  • 5月27日:蜘蛛の巣を揺すればふはと蜘蛛出づる
  • 5月26日:遺品なる勲章恋文青あらし
  • 5月25日:自動ドア人なく閉まる薄暑かな
  • 5月24日:みどりさす柩の中を思ひけり
  • 5月23日:とらへたる子亀のじつと眼をつむり
  • 5月22日:凹みたる基督の顔さらに踏む
  • 5月21日:手にうけて定家葛の花しづく
  • 5月20日:両岸をあふれ卯の花なだれをり
  • 5月19日:椎の花雨にこぼるる書院かな
  • 5月18日:今日晴れて明日も晴れさう豆ごはん
  • 5月17日:片雲の遠く光りて夏きざす
  • 5月16日:また探しものして母や小判草
  • 5月15日:荒御輿地を揺り上げて来りけり
  • 5月14日:父と居る時間みじかし花は葉に
  • 5月13日:みほとけの一灯に山滴りぬ
  • 5月12日:朝ごとに違ふ蝶来て庭涼し
  • 5月11日:草笛の兄のいつから無口なる
  • 5月10日:大風に切つ先返し夏つばめ
  • 5月9日:一族の潰え筍山ひとつ
  • 5月8日:羽の国のざんざん降りの田植寒
  • 5月7日:まみどりに原生林の山毛欅若葉
  • 5月6日:船虫や乱反射して波が来る
  • 5月5日:とぶ鳥の雲より白き端午かな
  • 5月4日:亀鳴くや言ひかけしことそのままに
  • 5月3日:蛇穴を出づ人類ヨマダヰタカ
  • 5月2日:神馬舎に風吹く八十八夜かな
  • 5月1日:風音や狐の提灯足もとに

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