《四月二十一日》ソロ充とキョロ充の語を今日知りてわが若き日を思ひ出すなり

ある会で、「ソロ充」の語を教えられた。「リア充」は前から知っていたが、「ソロ充」は知らなかった。家に帰って調べてみたらさらに「キョロ充」もあった。一人で楽しめる「リア充」、いつもキョロキョロして知り合いを探している「キョロ充」、昔もそんな若者がいたような気がするが、ネット時代の今の青春はつらそうだ。

著者略歴

伊藤一彦(いとう かずひこ)

昭和18年、宮崎市に生まれる。早稲田短歌会を経て、「心の花」に入会し、現在選者。
歌集に『海号の歌』(讀賣文学賞)、『新月の蜜』(寺山修司短歌賞)、『微笑の空』(迢空賞)、『月の夜声』(斎藤茂吉短歌文学賞)、『待ち時間』(小野市詩歌文学賞)、また歌集『土と人と星』及び評論『若山牧水―その親和力を読む』により現代短歌大賞・毎日芸術賞・日本一行詩大賞を受賞。若山牧水記念文学館館長。宮崎市に住む。

 

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バックナンバー

  • 4月25日:色ちがへおのがじし光る星眺む人間であることを忘れて
  • 4月24日:五十年以上の前の友の手紙われを揺さぶるそのかみよりも
  • 4月23日:学校を放送局に擬しながら必死に登校せし寺ちゃんよ
  • 4月22日:しづかなる家の独酌もよけれどもいざや伊丹へ 酒戦(しゆせん)の待てば
  • 4月21日:ソロ充とキョロ充の語を今日知りてわが若き日を思ひ出すなり
  • 4月20日:あくがれを貫き生きし一身をさらして立てるなかんづく九〇〇
  • 4月19日:驚くな没後七十九年目の「文学界」の表紙ぞ君は
  • 4月18日:執念のなき軽さなりかわきたる春の落葉のどこにでも行く
  • 4月17日:熊本の「いのちの電話」相談員減りし現状訴える記事あり
  • 4月16日:一口目より二口目、三口目がうまい酒ありそんな人あり
  • 4月15日:天よりの光を容れてみじろがず新(さら)なる白の山芍薬の花
  • 4月14日:牧水の恋の名歌をおぎなひてびつしりと書きし人の青春よ
  • 4月13日:「誰にでも愛される目をしてゐる」と日記に啄木書きし牧水
  • 4月12日:真白なる桃の花なり実生なる二代目ゆゑに心あひの樹
  • 4月11日:目をつむり香りをかげばわが魂(たま)は南アフリカの原野にあそぶ
  • 4月10日:見上ぐるもよし二階より眺むるもまた可愛ゆしよ妹(いも)なる杏
  • 4月9日:下戸なりし子規にかはりて酒を飲み藤なみの花よみがへりけり
  • 4月8日:「天」をもて始まる「ん」は「痰」「小便」「寝棺」「出棺」あはれ「仏壇」
  • 4月7日:雪原に無心にあそぶ子の詩なり「あんなふうにやれなきや駄目だなあ」
  • 4月6日:山ざくら早く咲けるを愛(め)でたりき染井吉野は急がず開け
  • 4月5日:未来より近づいてくる牧水のまだ誰も見ぬ姿見つけむ
  • 4月4日:自転車のサドルに白き鳥の糞(ふん)気持ちよかりけむ輝きてをり
  • 4月3日:夏秋冬他(ほか)のいのちを奪ふなく他のいのちを支へ木木樹(た)つ
  • 4月2日:池みづを二匹して飲み去りにけりその後(ご)の幸をしばらく想ふ
  • 4月1日:さもあらむさもあらむかな密葬の日は春嵐吹き荒れしとふ

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