《四月二十一日》駈け寄りて草の匂ひの入学児

ひと月ぶりに会った孫は、小学生になったしるしとばかり、ブレザーを着て来た。「もう一年生になったのだから、ばあば、なんて赤ちゃん言葉ではなく、和子さん、て呼ぶのはどう?」と提案したら、「うん、覚えてたらね」と頷いてくれた。男の子に「和子さん」と呼ばれるのは久方ぶりだ。楽しみ。

著者略歴

西村 和子(にしむら・かずこ)

昭和23年 横浜生まれ。
昭和41年 「慶大俳句」に入会、清崎敏郎に師事。
昭和45年 慶応義塾大学文学部国文科卒業。
平成8年 行方克巳と「知音」創刊、代表。
句集『夏帽子』(俳人協会新人賞)『窓』『かりそめならず』『心音』(俳人協会賞)『鎮魂』『椅子ひとつ』(小野市詩歌文学賞・俳句四季大賞)。
著作『虚子の京都』(俳人協会評論賞)『添削で俳句入門』『季語で読む源氏物語』『季語で読む枕草子』『季語で読む徒然草』『俳句のすすめ 若き母たちへ』『気がつけば俳句』『NHK俳句 子どもを詠う』『自句自解ベスト100西村和子』ほか。
毎日俳壇選者。
俳人協会理事。
NHKラジオ「文芸選評」選者。

 

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バックナンバー

  • 4月25日:回しみてかろきが嬉し春日傘
  • 4月24日:勿忘草寸暇寸土を惜しむべく
  • 4月23日:若草にしやがむ語らふ駈けまはる
  • 4月22日:フリージア夢の中にも香りくる
  • 4月21日:駈け寄りて草の匂ひの入学児
  • 4月20日:桜蘂踏みて見ぬふり知らぬふり
  • 4月19日:鳥雲にとほき谺を聞くごとし
  • 4月18日:かかる日はかかる沖にも蜃気楼
  • 4月17日:遠足の朝の靴紐蝶結び
  • 4月16日:ゆく水にかざし華やぐ残花かな
  • 4月15日:遺影にも分けて真つ赤やチューリップ
  • 4月14日:花疲れ化粧道具の持ち重り
  • 4月13日:啄木忌天地焼けたる文庫愛(を)し
  • 4月12日:花筏なすほどならずやすらはず
  • 4月11日:死者たちの谷をかすむる落花かな
  • 4月10日:夜桜にこぼれて静か二階の灯
  • 4月9日:こゑ栄(は)ゆる都をどりの銀屏風
  • 4月8日:履き替へて夜には夜の花衣
  • 4月7日:まなうらに花洛鞄に選句稿
  • 4月6日:利休梅晩節すでに始まれり
  • 4月5日:初蝶の追ひ抜きざまにふりかへり
  • 4月4日:咲きそめて花の下枝(しづえ)のうちけぶり
  • 4月3日:立ち出でて今宵はいかにわが桜
  • 4月2日:そののちの心づもりも花見船
  • 4月1日:上げ底の靴をたのみて四月馬鹿

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