《五月二十日》若楓人恋しさもまさりけり

真如堂吟行。紅葉の名所は今の季節にこそ訪ねたい。京都の楓はことのほか細やかで、なよやか。「祭のころ、若葉の梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも人の恋しさもまされ、と人の仰せられしこそ、げにさるものなれ」(徒然草、十九段)

著者略歴

西村 和子(にしむら・かずこ)

昭和23年 横浜生まれ。
昭和41年 「慶大俳句」に入会、清崎敏郎に師事。
昭和45年 慶応義塾大学文学部国文科卒業。
平成8年 行方克巳と「知音」創刊、代表。
句集『夏帽子』(俳人協会新人賞)『窓』『かりそめならず』『心音』(俳人協会賞)『鎮魂』『椅子ひとつ』(小野市詩歌文学賞・俳句四季大賞)。
著作『虚子の京都』(俳人協会評論賞)『添削で俳句入門』『季語で読む源氏物語』『季語で読む枕草子』『季語で読む徒然草』『俳句のすすめ 若き母たちへ』『気がつけば俳句』『NHK俳句 子どもを詠う』『自句自解ベスト100西村和子』ほか。
毎日俳壇選者。
俳人協会理事。
NHKラジオ「文芸選評」選者。

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 5月25日:たのしみは書淫夜ふかし一夜酒
  • 5月24日:稿継ぐや新茶淹るるも時かけて
  • 5月23日:木下闇亡者と生者ゆきちがふ
  • 5月22日:九重の新緑護る青垣山
  • 5月21日:祭過ぎ大路小路のすがしさよ
  • 5月20日:若楓人恋しさもまさりけり
  • 5月19日:三十六峰青龍跋扈椎若葉
  • 5月18日:迎へ梅雨本屋に森の匂ひ満ち
  • 5月17日:音もせで卯の花腐し止みもせず
  • 5月16日:仏蘭西語ひそやか薔薇の昼闌(たけなは)
  • 5月15日:姫女苑その名ほどには華やがず
  • 5月14日:我が町を川より眺め夏浅し
  • 5月13日:幕下りし闇の彼方の椎の花
  • 5月12日:アカシアの花のたわわや雨もよひ
  • 5月11日:卯月野に光分かちて川合流
  • 5月10日:黒とても軽重浅深更衣
  • 5月9日:夏めくや水辺に人を彳たしめて
  • 5月8日:余花に声かくるも帰り仕度かな
  • 5月7日:踏み入りてからまつ若葉匂ふかな
  • 5月6日:夏来たり子供の声に目が覚めて
  • 5月5日:こどもの日子が子を連れて襲来す
  • 5月4日:水芭蕉おのもおのもの葉をかむり
  • 5月3日:枢(とぼそ)開く気配とてなく春暮るる
  • 5月2日:八十八夜小櫛のやうな月捧げ
  • 5月1日:画家の名の茶房に春を惜しみけり
  • 4月30日:息合はせ躑躅の焔(ほむら)息苦し
  • 4月29日:覚めぎはの声を忘れず春の夢
  • 4月28日:花水木閃き並木ととのひぬ
  • 4月27日:逝く春の本堆き机上机下
  • 4月26日:鮊子(いかなご)や縁の糸の途切るなく
  • 4月25日:回しみてかろきが嬉し春日傘

俳句結社紹介

Twitter