《六月二十日》手紙には命感じてもメールには命感じないとこの若き言ふ

宮崎「心の花」歌会は、宮崎大学の学生をはじめ若い人が参加して活気を与えてくれている、私はほかに若い人だけの歌会「歌工房とくとく」も主催しており、若い人と話す機会が少なくない。そして、話してみると、いろいろ教えられて楽しい。先入観なしに若い人と接したい。近く彼らと一つ二つイベントもやる。

著者略歴

伊藤一彦(いとう かずひこ)

昭和18年、宮崎市に生まれる。早稲田短歌会を経て、「心の花」に入会し、現在選者。
歌集に『海号の歌』(讀賣文学賞)、『新月の蜜』(寺山修司短歌賞)、『微笑の空』(迢空賞)、『月の夜声』(斎藤茂吉短歌文学賞)、『待ち時間』(小野市詩歌文学賞)、また歌集『土と人と星』及び評論『若山牧水―その親和力を読む』により現代短歌大賞・毎日芸術賞・日本一行詩大賞を受賞。若山牧水記念文学館館長。宮崎市に住む。

 

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バックナンバー

  • 6月29日:早稲田より都電に乗りてしげしげと通ひし神田けふ銀の雨
  • 6月28日:亡き人を想ひ詩集を読みゐたり静岡県の上空か今
  • 6月27日:人言へる声の大きさ酒の強さ九州男児か肝(きも)小さけれど
  • 6月26日:濡れ始めいかなるものもひそやかに口づけうくるごとくひそけし
  • 6月25日:俵万智いろのみやざき新しきみやざきにして古きみやざき
  • 6月24日:雨うくる庭に咲き満つあぢさゐのそれぞれに人の名をつけ遊ぶ
  • 6月23日:びつしりと実のつまりたる丹精のスイートコーン甘きを噛めり
  • 6月22日:正面の姿すこしも損なはず斜交から子が見たる邦雄は
  • 6月21日:夏至の日の雨の夜を来て「聴く」ことを学ばむとせる老若男女
  • 6月20日:手紙には命感じてもメールには命感じないとこの若き言ふ
  • 6月19日:夏つばき一日を咲き地の上にわれに伝言あるごと白し
  • 6月18日:ともし妻あればともし鳥またあるを木の下陰にひそみくぐめり
  • 6月17日:世間まだ価値を見いだすなき山を先んじ評価せし牧水よ
  • 6月16日:海の辺の無人駅をつぎつぎ過ぎぬ潮のひかりを追ひ走らせて
  • 6月15日:散文を書きゐて改行おこなふは水面より鳥飛ばすに似るか
  • 6月14日:「印象に残る安打は」「自分にはどれも必要な一本だつた」
  • 6月13日:雨多き日向は靈の多き国さみだれの田にさやぎたまふも
  • 6月12日:平成のいまの為政者 日本の雅(みやび)を知らず隆家を見よ
  • 6月11日:目をやればいつもわれ見てくるるなり一対の黒と赤の鶉車
  • 6月10日:「興雨」より始まり「好雨」「恒雨」「江雨」さらに「洪雨」「紅雨」と続く
  • 6月9日:イワレヒコに連れてゆかれし頭よき男と愛(は)しき女帰り来ず
  • 6月8日:切妻の下の縁台(バンコ)に憩(やす)みをればわれを追ひ来し女人がゐたり
  • 6月7日:牧水がやはりにあふか雨山とも白雨とも言ひしこの雨おとこ
  • 6月6日:「のぼせもん」の下のユーモア見事なり上の誠は本当にして
  • 6月5日:『百年の船』のあとには『ムーンウォーク』そして『ほろほろとろとろ』面白
  • 6月4日:遠き世のとほくなき道 橋こえて砂の参道を鳥居にむかふ
  • 6月3日:おのがじし思ひを言(こと)に出だすべし呪文のごとき歌も腑分けし
  • 6月2日:年とるは聡くなることか否(いいや) けふ『徒然草』の何段読まむ
  • 6月1日:夏来たる広き日向の空汝(なれ)よ 激しき雷(らい)を欲する日なしや

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