《七月十八日》ハンカチを忘れ来しこと一大事

水に浸して首に巻く冷感グッズ。保冷剤用ポケットつきのスカーフやタオルなど、さまざま試してみたが、今はスーパーでくれる保冷剤をハンカチに畳み込んで、駅まで歩く五分間、額や首筋にあてて、汗を押えることにしている。一日中屋外にいる時には役に立たないが、電車に乗るまでの間なら効果あり。これを忘れて出ると、駅に着くまでに滂沱の汗で、化粧も剥がれる。夏は嫌だ。

著者略歴

西村 和子(にしむら・かずこ)

昭和23年 横浜生まれ。
昭和41年 「慶大俳句」に入会、清崎敏郎に師事。
昭和45年 慶応義塾大学文学部国文科卒業。
平成8年 行方克巳と「知音」創刊、代表。
句集『夏帽子』(俳人協会新人賞)『窓』『かりそめならず』『心音』(俳人協会賞)『鎮魂』『椅子ひとつ』(小野市詩歌文学賞・俳句四季大賞)。
著作『虚子の京都』(俳人協会評論賞)『添削で俳句入門』『季語で読む源氏物語』『季語で読む枕草子』『季語で読む徒然草』『俳句のすすめ 若き母たちへ』『気がつけば俳句』『NHK俳句 子どもを詠う』『自句自解ベスト100西村和子』ほか。
毎日俳壇選者。
俳人協会理事。
NHKラジオ「文芸選評」選者。

 

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バックナンバー

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  • 7月20日:初蝉や杖出払ひし麓茶屋
  • 7月19日:飾られて海まだ知らぬ水着たち
  • 7月18日:ハンカチを忘れ来しこと一大事
  • 7月17日:夏霧や翁の辿り来たる道
  • 7月16日:巡礼の杖に絡まる灸花
  • 7月15日:空梅雨の鉄橋やけに響きけり
  • 7月14日:楽涼し窓に黒船来港図
  • 7月13日:対酌といふも久々新生姜
  • 7月12日:鬼おろし乾く間もなし夏大根
  • 7月11日:沈むべく浮きて枇杷色梅雨の月
  • 7月10日:天ぷらの螢袋のほの甘く
  • 7月9日:機織虫もの書く灯慕ひ来し
  • 7月8日:書き出しの決まらぬままに髪洗ふ
  • 7月7日:白靴や乗り降り自由切符得て
  • 7月6日:群読の怒濤と響動(とよ)む夏芝居
  • 7月5日:掛茶屋の氷旗のみ新しく
  • 7月4日:青梅雨のいろこの宮に醒めたるか
  • 7月3日:仮名多き選挙公報半夏生
  • 7月2日:恍惚と墜つる光を追ふ螢
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