《十二月八日》年の瀬はとくに大人の言ひてゐしセシコチョルのなつかしきかな

今日は上京してある選考委員会に出席する。会が終了したら、最終便で東京を発って福岡に行く。日曜日に宮崎に帰る。移動するのも大変だが、留守中の原稿を仕上げてゆくのも大変だ。十二月は年末年始をひかえて原稿量が増える。宮崎弁では仕事に追いまくられるのをセシコチョルとよく言った。セツツカレテルが変化かしたものではないかという。セシコチョル毎日である。

著者略歴

伊藤一彦(いとう かずひこ)

昭和18年、宮崎市に生まれる。早稲田短歌会を経て、「心の花」に入会し、現在選者。
歌集に『海号の歌』(讀賣文学賞)、『新月の蜜』(寺山修司短歌賞)、『微笑の空』(迢空賞)、『月の夜声』(斎藤茂吉短歌文学賞)、『待ち時間』(小野市詩歌文学賞)、また歌集『土と人と星』及び評論『若山牧水―その親和力を読む』により現代短歌大賞・毎日芸術賞・日本一行詩大賞を受賞。若山牧水記念文学館館長。宮崎市に住む。

 

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  • 12月8日:年の瀬はとくに大人の言ひてゐしセシコチョルのなつかしきかな
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