《一月十三日》猫番組おわって気づく口すこし開けて惚ける自我なきわれを

猫ブームはいつまで続くのか。昨今は犬より人気が高いという。私もかつては飼っていた。

著者略歴

松平 盟子(まつだいら めいこ)

歌人、歌誌「プチ★モンド」代表

愛知県生まれ。南山大学国語国文学科卒。「帆を張る父のやうに」により角川短歌賞。歌集に『プラチナ・ブルース』(河野愛子賞)『カフェの木椅子が軋むまま』『天の砂』『愛の方舟』など。著書に『母の愛 与謝野晶子の童話』『パリを抱きしめる』など。与謝野晶子のパリ滞在とその文学研究のためパリ第7大学にて在外研究(国際交流基金フェローシップ)。現代歌人協会および日本文藝家協会会員。

 

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バックナンバー

  • 1月23日:大きさは強さでありたり雀、鵯、鳩の順番に羽音濃くなる
  • 1月22日:刃を入れてぱちっとぱちっと林檎分かつ音の緻密さ味わいながら
  • 1月21日:希望とは賃金確保の謂いなれば行李負い行きし戸主啄木は
  • 1月20日:酷寒の宿まで携え来し躰ただ存分に泣くための躰
  • 1月19日:妻の眉にかかる雪片見やるとき生々(なまなま)と心うごきし啄木
  • 1月18日:ぎんぎんと満天の星尖りつつわれを覆えり父逝きたりし
  • 1月17日:討ち取られし老将実盛の首あわれ洗われて髪白くもどりぬ
  • 1月16日:だし巻き卵に幸いあれな陰翳を決してまとわぬその柔き黄(きい)
  • 1月15日:所有せぬ軽さの限界とはどこか インスタ映えする室内借りる
  • 1月14日:十歩加え百歩を増やす両脚の涙ぐましき勤労見下ろす
  • 1月13日:猫番組おわって気づく口すこし開けて惚ける自我なきわれを
  • 1月12日:横ざまに冬風ふけば川の皮膚ざわざわ震うぎらぎら尖る
  • 1月11日:小走りのわれ錯覚す群れをなす若者、勤め人に併走すると
  • 1月10日:荒砥なす冬の海風に曝されて彫(え)りを深める高層ビルは
  • 1月9日:文芸誌の命運ひとつ傾く日 火鉢の炭は蒼く熾(おこ)りし
  • 1月8日:年々に面映ゆくなる★のマーク一〇〇冊ぶんの一〇〇個の星見る
  • 1月7日:本棚や書類と別れ或日ふとジンベエザメのわれ泳ぎおらん
  • 1月6日:欧州ワイン関税撤廃は本当か空(から)のグラスに噂むらさき
  • 1月5日:黒と蒼、細きペン字に成年のふたり子の賀状それぞれ重し
  • 1月4日:毛深くて不細工な形(なり)憐れみてお節に浄めしこの八頭
  • 1月3日:希望小売価格にて酒は販売せよ? ふうんと言いつつかわうそまつり
  • 1月2日:水仙に寄れば香りは波動せりとうめいのなみ両手にすくう
  • 1月1日:完全な一年のその初日とし平成を息す三十年目なり

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