《一月一四日》けづりかけかくてももとの姿哉

琴風

「削掛」は柳や白膠木、接骨木などの木片を細く削り、花の形にした飾り。小正月である旧暦一月十五日の前夜も年越しであり、この宵に門戸に掛けて、五穀豊穣を願った。『守貞万稿』は江戸の風俗として「小なる物二三寸、大は尺余もあり。武邸は尺余の物を用ふ。民戸は専ら小形多し」と解説している。『宝暦現来集』によれば削掛売りという商売まであったようだ。琴風の句では、削られてしまっても、もとの木の形はありありと浮かんでくるという。木の持っている霊力のようなものを感じさせる。それはやはり、削られて白い肌をさらすことで、定かになるのだ。もはやこうした習俗が残っている地域は、限られるだろう。俳諧は民俗誌でもある。

●季語=削掛(新年)/『俳諧六歌仙』所収

著者略歴

髙柳 克弘(たかやなぎ・かつひろ)

1980年 静岡県浜松市生まれ。2002年 「鷹」に入会、藤田湘子に師事。2004年 「息吹」五〇句によって俳句研究賞受賞。2005年 藤田湘子逝去。新主宰小川軽舟の下、「鷹」編集長就任。2008年 評論集『凜然たる青春』によって俳人協会評論新人賞受賞。2010年 第一句集『未踏』によって第一回田中裕明賞受賞。2017年、Eテレ「NHK俳句」選者。著書に『凜然たる青春』(富士見書房)、『芭蕉の一句』(ふらんす堂)、『未踏』(ふらんす堂)、『寒林』(ふらんす堂)、『NHK俳句 作句力をアップ 名句徹底鑑賞ドリル』(NHK出版)。読売新聞夕刊「KODOMO俳句」選者。浜松市やらまいか大使。

 

 

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