《二月十四日》売れ残るチョコレートには罪なくて「あれをください」指せば光った

世間ではヴァレンタインデー。駅ビルのチョコレート販売合戦はピークを過ぎ、売れ残りそうな気配。残り物には福がある、か?

著者略歴

松平 盟子(まつだいら めいこ)

歌人、歌誌「プチ★モンド」代表

愛知県生まれ。南山大学国語国文学科卒。「帆を張る父のやうに」により角川短歌賞。歌集に『プラチナ・ブルース』(河野愛子賞)『カフェの木椅子が軋むまま』『天の砂』『愛の方舟』など。著書に『母の愛 与謝野晶子の童話』『パリを抱きしめる』など。与謝野晶子のパリ滞在とその文学研究のためパリ第7大学にて在外研究(国際交流基金フェローシップ)。現代歌人協会および日本文藝家協会会員。

 

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バックナンバー

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  • 2月21日:眼鏡外(はず)しおぼろに歪む風景の中をひんやり行く日々記憶す
  • 2月20日:涙目に春を迎えし若き日の洞(うろ)なす心も花粉症たりし
  • 2月19日:投函はハガキ一枚そののちの梅見にひとり喉をさらす
  • 2月18日:収入の差異は真(ま)闇(やみ)に溶けこんで弟ヤンのチューリップ溢る
  • 2月17日:パンダの絵掲げる子供の笑顔よし香香(シャンシャン)はいま眠っているよと
  • 2月16日:つけまつげの高梨沙羅に憂いありしスキー板ひょいと肩にかけても
  • 2月15日:生涯に決して貰えぬ称号の「アスリート」、ゆえにアスリート仰ぐ
  • 2月14日:自分へのご褒美などと呟いてリボンを結ぶ〈お一人様用〉
  • 2月13日:いただきし真の闇なりみずからの手も見えぬ闇を両の手に受く
  • 2月12日:室内楽愛好するは隠れキリシタンの如しと思いしに炸裂の楽
  • 2月11日:木造の家々なりし昭和半ば日の丸のポール斜めに立てて
  • 2月10日:厳冬のバスの中から見る街のかつて萩覆う武蔵野の果て
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  • 2月7日:娘(こ)の感情読み取れぬとき強いておもう、レイだものねショートボブ似合うよ
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  • 2月4日:嫌われているかもしれぬと気づくとき鬼の面かぶり豆を頬張る
  • 2月3日:大股に動く歩道を急ぐとき光れ二本のハムストリング・マッスル
  • 2月2日:少年が「あっ」と指さすスカイツリー車窓のむこう銀の佇立を
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