《四月十七日》こゝかしこ蛙鳴く江の星の数

其角きかく

15日と16日と同じく、『蛙合』から引用した。水辺のそこかしこで蛙が鳴き、空にはいくつもの星がかがやいている、という情景。まるで蛙の声に呼応して、空の星がまたたいているようだ。「星の数」というまとめが巧い。安易に星が多いとか光るなどといわないことで、余韻が生まれた。「花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、いづれか歌を詠まざりける」は、『古今集』仮名序の著名な一節であるが、水の蛙から天の星へダイナミックに視点を転じたのは其角の独創だ。天上の星と地上の小動物を取り合わせた点で「高嶺星蚕飼の村は寝しづまり 水原秋櫻子」(『葛飾』昭和五年刊)と共通する構図を持ち、古俳諧とは思えないモダンな印象を持っている。(『蛙合』)

●季語=蛙(春)

著者略歴

髙柳 克弘(たかやなぎ・かつひろ)

1980年 静岡県浜松市生まれ。2002年 「鷹」に入会、藤田湘子に師事。2004年 「息吹」五〇句によって俳句研究賞受賞。2005年 藤田湘子逝去。新主宰小川軽舟の下、「鷹」編集長就任。2008年 評論集『凜然たる青春』によって俳人協会評論新人賞受賞。2010年 第一句集『未踏』によって第一回田中裕明賞受賞。2017年、Eテレ「NHK俳句」選者。著書に『凜然たる青春』(富士見書房)、『芭蕉の一句』(ふらんす堂)、『未踏』(ふらんす堂)、『寒林』(ふらんす堂)、『NHK俳句 作句力をアップ 名句徹底鑑賞ドリル』(NHK出版)。読売新聞夕刊「KODOMO俳句」選者。浜松市やらまいか大使。

 

 

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  • 4月20日:春の日や茶の木の中の小室節(こむろぶし)  正秀
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  • 4月18日:春風や麦の中行く水の音  木導
  • 4月17日:こゝかしこ蛙鳴く江の星の数  其角
  • 4月16日:山の井や墨(すみ)のたもとに汲む蛙  杉風
  • 4月15日:いたいけに蝦(かはず)つくばふ浮葉(うきは)哉  仙化
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  • 4月4日:春雨やはなれ〲の金屏風  許六
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  • 3月8日:松風(まつかぜ)の空や雲雀(ひばり)の舞わかれ  丈草

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