《九月十七日》壮年の父母の遺影や雁渡る

敬老の日。

八十七歳、充分な老人となっている。 テレビドラマで見る「お爺さん」役の人の若いこと。この時は自分が完全な「お爺さん」であることを忘れている。

そして五十代で逝った父母の仏壇に熱い茶を捧げている。

●季語=雁渡る

著者略歴

大牧 広(おおまき・ひろし)

1931年東京生。40代より作句を始める。「沖」入会、「沖」新人賞、「沖」賞受賞、第64回現代俳句協会賞受賞 第30回詩歌文学館賞受賞、第4回与謝蕪村賞受賞、第3回俳句四季特別賞受賞、第15回山本健吉賞受賞。句集『父寂び』『某日』『午後』『昭和一桁』『風の突堤』『冬の駅』『大森海岸』『正眼』『地平』(角川書店)。他に、『季語別大牧広句集』(ふらんす堂)『シリーズ自句自解Ⅱベスト100大牧広』(ふらんす堂)等。

現代俳句協会会員、日本ペンクラブ会員、国際俳句交流協会会員、日本文藝家協会会員。

 

 

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バックナンバー

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  • 9月12日:新涼やされど切なき咀嚼音
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  • 9月8日:牛乳を甘くして飲む秋の夜半
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  • 9月6日:茫々と鉄路ありけり彼岸花
  • 9月5日:疲れと眠気の八十七歳の秋夜
  • 9月4日:深遠な思ひさておき芋を食ぶ
  • 9月3日:バス停の椅子の草の実払ひけり
  • 9月2日:秋蝶の夢のごとくによぎりたり
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