▼単行本・句集 山麓/さんろく
島田星花句集 [しまだせいか「鷹」同人(1936〜)] 定価 本体2476円+税=2600円 序・小川軽舟 跋・奥坂まや 装丁・君嶋真理子 4/6判上製カバー装 202頁 2008.04.18刊行
◆ 第一句集 「澄む独楽のやがてわらりと朱を見する」星花さんは、俳句表現に関する探究心の旺盛なことにおいて、「鷹」でも屈指の存在である。例えばこの句の「わらり」。揺らぎ始めた独楽が派手な模様を明らかにするその瞬間を発止と掴んだ。存在の本質に食い込むような言葉は、対象に通わせた心の深さを想像させるものである。
『山麓』一〇句・小川軽舟抄出 笹山に鮓の笹剪る初嵐 犀星の川に雨ふる青あんず 高空に白山在りぬ手毬唄 ぐふぐふとわらふ加湿器春隣 虚子の忌のどこにも触れず春の虹 雪沓穿く喪服の褄を高くとり 葛咲くやむかし男は闇を来て 年新たかちりと星座動きけり さびしとは言はず寒しと言ひにけり 稜線を仰ぐ子はわれ猫柳
▼単行本・歌集 はて/はて
坂原八津歌集 [さかはらやつ] 定価 本体2476円+税=2600円 栞・穂村 弘 装丁・君嶋真理子 4/6判上製カバー装 178頁 2008.04.18刊行
◆ 第三歌集 『はて』を読みながら、ときおり理由のわからない怖さを感じた。一見すると普通に身の回りを詠っているようでいながら、何かが変だ。静かな言葉の裏に貼りついている緊迫感はなんなんだろう。
やわらかな記憶のなかの色をして入り口に咲くしろいたんぽぽ 秋の陽に遊ばせておく きみのためのえのころ草をつぶさぬように 守るべき優しくすべき いつ頃のどの生物のいきた地球を この言葉で届くだろうか夜半過ぎ流星群が来るはずの空 目を閉じて風の終わりを確かめて 桜蕊降る空を仰いだ ばさばさとうつ伏せのまま落ちてくる大きな大きな重そうな雪 一回に出会える波は一つだけ 行ったきりならそれでもいいし
▼単行本・句集 花の宵/はなのよい
市原恭子句集 [いちはらやすこ「ホトトギス」同人 「藍」同人] 定価 本体2667円+税=2800円 装丁・君嶋真理子 4/6判上製函装 200頁 2008.04.08刊行
●自選一〇句 虚子も愛で在すや今日の花浄土 箒星探し当てたる花の宵 癌術後三年の夏を健やかに ブルージュはレース飾りの窓涼し サングラスしてゴンドラの客となる アルハンブラ宮殿泰山木は実に 癌完治医師爽やかに告げらるる 新涼や写経の筆に遅速なく 美しき雪も掻かねばならぬかな 惜しみても惜しみきれざる年惜む
▼俊英俳句叢書serie de la neige・句集 花衣/はなごろも
西宮 舞句集 [にしみやまい「狩」同人(1955〜)] 定価 本体2400円+税=2520円 栞・井上弘美 装丁・君嶋真理子 4/6判並製ソフトカバーグラシン巻き 200頁 2008.04.08刊行
●自選十五句 てのひらをすべらせたたむ花衣 人波に押さるるなかの御慶かな あめつちを結ぶ雨糸初山河 胎内へ戻りゆくごと蛍狩 新米の犇く声を研ぎにけり 命あることも知らぬげ雪ばんば 月明やものみな影にかしづかれ 雪虫は雪にあくがれ生まれけむ 一粒ものこさず去りし夕立かな あたたかや山にふところたなごころ はつなつの月の大きく地を離る 大いなる福耳もちて飾売 今の世に雌伏てふこと龍の玉 夜のうちに逃げ出してをり雪うさぎ うみやまのあはひにふぶくさくらかな
香月ゆかし詩集 [こうづきゆかし(1956〜)] 定価 本体2000円+税=2100円 栞・新井豊美 装丁・君嶋真理子 B6判並製ソフトカバー 86頁 2008.04.01刊行
藤城良子句集 [ふじしろよしこ「青山」同人(1937〜)] 定価 本体2476円+税=2600円 序・山崎ひさを 装丁・君嶋真理子 4/6判上製カバー装 200頁 2008.04.17刊行
◆ 第一句集 藤城良子さんは、明朗で、闊達、何ごとに対しても積極的で、前向きな性格と承知している。スポーツは卓球、趣味は絵画、通じて心ゆたかな日々を楽しまれている。加えて良子さんはまことに筆まめである。それもきちっと的確にポイントを押え、簡にして要を得た筆運びである。一般に筆まめな人は、俳句もまたこれをよくする。これは私の首唱するところである。良子さんは正にその尺度に符合するお一人と、私はつねづね思っている。
●自選一〇句 花の中押し行く父の車椅子 故郷の赤星山遠し雉子の声 藩校の跡に図書館梅白し 橙や初孫にして男の子 船上に喜寿の宴や月涼し 流木にかけてスケッチ鳥渡る 紫苑咲く母の面影重ねゐし 城郭の中に学校笹子鳴く 思ひ出や共に白鳥見しことも 身の丈の二人暮しや根深汁
高野途上句集 [たかのとじょう(1926.11〜2007.1)] 定価 本体2762円+税=2900円 序・小川軽舟 装丁・君嶋真理子 4/6判上製函装 240頁 2008.04.05刊行
◆ 第二句集 初蝶は帽子探しに行くごとし 途上さんの最後の句集名を、私の大好きなこの句からとった。ふとこの初蝶が、湘子先生の面影をどこまでも探しにいくような気がしたからである。
●小川軽舟抄出 稲架の棒立てて天心さだまれり 地に直路あり天狼星(シリウス)はいよよ冬 初秋や志賀の雀の畦えらび 賭鶏の地に繚乱と仆れたり 虫籠に入りゆくごとし虫の宿 小牡鹿に偽りのなき手を与ふ 枯野ゆくライカ口径むきだしに 義士の日の星に出遅れなかりけり 橇の犬強き愛撫を奪ひあひ 寒林の鳥声に胸射られたり
黒瀬珂瀾 [くろせからん(1977年〜)] 定価 本体1905円+税=2000円 装丁・君嶋真理子 4/6判変型並製ソフトカバー 226頁 2008.04.01刊行
◆ 街をテーマに、新しいかたちの短歌入門。 街は、さまざまな影をとどめている。 人々のぬくもりをやどし、鳥やけものの悲しみを映しだす。 街のかたすみで草はほほえみ、花はしずかに頭を垂れる。
近代から現代にいたる都市に刻印された記憶が、 短歌によっていま、甦る!
「近代」、「戦後」、そして「現在」という三つの時間の核を、それぞれ自由に行き交いながら、短歌の万華鏡の奥にある、多面体の「都市」をのぞいていこう。そこには、短歌という短詩型の精神の歴史も秘められているかもしれない。
瀬古多江子句集 [せこたえこ「狩」会員(1929〜)] 私家版 序句・鷹羽狩行 跋・遠藤若狭男 装丁・君嶋真理子 四六判上製函入り総クロス装 188頁 2008.04.08刊行
◆ 第一句集 瀬古さんの俳句は、ことごとくすぐれた表現力のもとから詠われており、それが読者にここちよきカタルシスをもたらすのであろう。もちろん、これほどの俳句を構築し得たのは、いうまでもなく鷹羽狩行という言葉の天才に学んだからだが、さらにいえば受け皿としての瀬古さんの感性が豊かでやわらかで、そしてふところの深さを備えていたからでもある。そのことも忘れてはなるまい。
●自選一〇句 曼珠沙華墓参なりしに髪を染め 花吹雪風の女神の妬心とも 鎌の刃を薙ぎし草にて拭ひけり 蠅がまたとまりてをりし蠅叩 対局を控へし座敷淑気満つ やは肌にふれもみずして桃選ぶ 白薔薇の騎士と呼びたき姿かな 虫籠を暮しに編みて虫飼はず 風となり蓮の浮葉で遊びたし 神の手に委ね聖夜の手術室
朝倉治美句集 [あさくらはるみ「狩」同人(1937〜)] 定価 本体2476円+税=2600円 序句/帯・鷹羽狩行 跋・桑島啓司 装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 184頁 2008.03.17刊行
◆ 第一句集 「おのづから身の軽くなる夜の秋」 「夜の秋」の季感と、その時の作者の心理をとらえる。 「葉桜となり静けさをとりもどす」 季節の移り変わりの中にナイーブな心情をあらわす。 「母の日や履かれぬままの下駄草履」 生前、ものを大切にしてきた母らしい。遺されたものを通して母への思いを詠う。いずれも情感をさりげなく表現していて、心を打つ作品集である。
●鷹羽狩行抽出 いつもとは違ふ道来て犬ふぐり 卯の花や後戻りして道を問ふ 逆境に不思議と力花八手 過ぎし恋これからの恋春の星 鬼灯市先ゆく人にまねて触れ みほとけに近々と坐し暮の秋 共演が夫婦の縁花は葉に 大阪にこんなにも星去年今年 しばらくは固まり流れ花筏 だんまりを押し通すなり水中花
三上かね子句集 [みかみかねこ「泉」同人(1929〜)] 定価 本体2571円+税=2700円 序/帯・綾部仁喜 装丁・君嶋真理子 四六判フランス装 180頁 2008.03.17刊行
◆ 第一句集 本書はさまざまな出会いをつつましく繊細な感性で受けとめた縁の集積である。
●綾部仁喜抄出 門前をひろがり行けり秋遍路 陵の茂りの中の半旗なり 挙げてゐる面なりけり花の雨 畑土の一尺上を初燕 一苑の秋草のみなすぐれけり 頭に触るる数の一つの大瓢 島の橋祭りの人を通しけり 丈高き金婚の松飾りけり 触りたる所がぬれて干若布 もう一度数へて朴の花ふえて
まついひろこ句集 [まついひろこ「銀化」同人] 定価 本体2476円+税=2600円 序・中原道夫 装丁・中原道夫 四六判上製カバー装 202頁 2008.03.11刊行
◆ 第一句集 「夏霧や人に生るる列にゐて」 この作者、前世も人間だったかどうかは知らぬが、今度こそは、と人に生れる列の方に並んだのだ。生命誕生の神秘を易々と超えて、巧みに戯画化して見せる。全く虚の世界を、想念を駆使して書いているにもかかわらず、何処か夢の中で見た世界、既視感(デジャ・ビュ)もあることに驚かされた句であった。
●自選十句 囀りの今際の耳を満たしたる 長長と蛇は己にこもりゐる 夏霧や人に生るる列にゐて 川音に葭簀たて掛け商へり 紫陽花のかむさるほどの墓がよし 舟虫のぞろりと雨の上がりたる いつの日も見送る側に立つカンナ 松伐りて考の冬空失ひぬ 山畑や仏のための花も枯れ 敷松葉しづかな雨となりにけり
▼単行本・句集 花西行/はなさいぎょう
秋山巳之流句集 [あきやまみのる] 定価 本体2571円+税=2700円 序・飯島耕一 帯・五木寛之 大鷹不二雄 装丁・菊地信義 四六判上製カバー装 226頁 2008.03.14刊行
◆ 第三句集 序詩 飯島耕一 「トルファンへの旅」
帯 五木寛之 秋山巳之流さんの世界に触れて、音もなく散り続ける花が心に浮かんだ。平成十三年から十九年までの間に、秋山さんの句はダイナミックに変化していく。散りゆく命への静かなレクイエムが、ここにある。 帯 大鷹不二雄 その生涯を通して秋山巳之流氏は、誰もがまだ見たこともない満開の花を咲かせた。その花のもとに、氏が耕した野が広がり、大きな河がとうとうと流れる。比類なき反骨精神で、一叟の小舟を漕ぎだして俳句の未来を切り拓き、みずからも俳諧の王道を歩み、大完成した、秋山巳之流氏、畢竟の俳句集!
鈴木みのり句集 [すずきみのり(1949〜)「船団」会員] 定価 本体1809円+税=1900円 帯・坪内稔典 装丁・君嶋真理子 新書判並製ソフトカバー 80頁 2008.01.19刊行
◆ 第一句集 近所に住む鈴木みのりは、律儀このうえない主婦です。ところが、この律儀なみのりの俳句が、このうえないほどにおかして楽しいのですよ。「金魚一匹自転車に乗って来た」「泣く鉄人28号明易し」「師の影をしっかり踏んで春の雪」「海の日をネクタイ青く出勤す」「冬銀河パンツのゴムを替えている」。ほら、愉快な俳句でしょ。長く俳人をしてきた私ですが、「俳句ってこんなに楽しいのだ」と、今、とてもいい気分。
みつ豆のぷるんぷるんと雨上がる 金魚一匹自転車に乗って来た 木枯一号飼猫を首に巻く 男達は戦争が好き父子草 春は曙都心回帰のコッペパン 泣く鉄人28号明易し 芭蕉翁蕪村暁台桐の花 ボタン穴一つずれたる星月夜 海の日をネクタイ青く出勤す 母届く一月のバス乗り継いで
◆ 初の随筆集 麗子さんは、長野県大町の風土を抒情性と知的センスを充分に発揮して詠い、佳句を多く生み出し続けている。と同時に優れた文章家、随筆家としても活躍しているのである。その師青邨は名随筆家であった。俳人は俳句と同時に文章も書くべしということが、一つの教えであった。
九月の例会には上條勝さんが、岡谷の山野を跋渉して手折った花野の花が差し出された。先生はその花を随分と楽しみにしていらっしゃった。その日は、先着のとほる先生ご夫妻とご歓談の所へ、勝、敬子、照子、私が合流した。例によって、いそ子奥様が大きな水桶を書斎に提げてこられた、桶はきまって人形の熊野の前に置かれた。われもこう、おやまぼくち、とりかぶと、おぐらせんのう、サワギキョウ、おたからこう、マツムシ草・・まだまだ沢山ある。青邨先生は、「おお、美しい」と桶の前に両手を突かれて、投げ入れられた花にしばし見とれていらっしゃった。
◆ 第1句集 (駿河さんは)大変真面目で思慮深く明るく大らかな性格である。大らかは大雑把とは違い、とても繊細な心の持主である。人情の機微に感じ易いが大げさに表わさず心の底に鎮めている人のように思える。俳句はまず存問、写生と聞けば正面から人間を含めた大自然にその心を以て接し、句作毎にその神秘に驚き感動し素直に自分の言葉で表現する。感動させたものは何かを自問出来る賢さを持った女性である。知ったか振りをせず学ぶ姿勢を忘れない人柄で人との}がりを大切にする女性である。
作品紹介 句に詠まれゐること知らぬ大毛虫 鮓美味し思ひ出話更によし 打ち水といふもてなしも加はりて 転んでも起きても笑顔豆雛 この世では会へぬ人増ゆ返り花 賀の宴のホトトギスてふ新酒かな 燈籠の組み立て手順あなどれず 水に棲むあめんぼ水に濡れてゐず おみくじを結ぶ最も濃きもみぢ 福飴の切らねば見えぬ笑顔かな
●句集 ・『俳句の時間』駿河亜希句集 ・『ブラックホール』鈴木みのり句集 ・『花西行』秋山巳之流句集 ・『谷日和』まついひろこ句集 ・『内裏雛』三上かね子句集 ・『朝鈴』朝倉治美句集 ・『神の手』瀬古多江子句集 ・『初蝶』高野途上句集 ・『赤星山』藤城良子句集 ・『花衣』西宮 舞句集 ・『花の宵』市原恭子句集 ・『山麓』島田星花句集 new! ●歌集 ・『はて』坂原八津歌集 ●詩集 ・『二月生まれ』香月ゆかし詩集 new! ●入門書 ・『街角の歌』黒瀬珂瀾 ●エッセイ・評論・その他 ・『仙人掌の花』酒井麗子随筆集