本尚毅特選 石の階狭くて紅葉散らばれるり 定生 神無月をしかたまりて鹿の子は 喜代子 後ろ手にあるじ戻り来日短か みよ 草木みな風にしたがふ秋の暮 八江 いまだゐる藪蚊を打ちて冬仕度 紀子 朝の雀夕べの烏冬めける 八江 森深く短日の池深みどり しげ子 返り花苑の時報のやや遅れ 紀子 囲ひして狸と狐となりあふ 喜代子 末枯れて艶やかな実が茎の先 定生 冬めくや高みに松の緑ある 章 残る蠅小さき水の玉吸うて とも
尚毅選 藁屑のそこらに散つて日短 八江 末枯れてつややかな葉でありにけり 定生 吹く風のなき黄落でありにけり 定生
噴水の小さくなりて冬に入る 喜代子 水真中動かぬ魚や石蕗の花 とも 落語家のやうに茶を飲む文化の日 章 石蕗咲いて縁側の日に読みふける 八江 鶴の嘴落葉突き刺し歩むなり 紀子 リヤカーの落葉の上の箕と箒 定生 猿山に喧嘩無き日や菊日和 章 戸袋のあたりさつぱり萩刈られ 八江 草葎なかに直ぐなる泡立草 紀子 逝く秋の縦横にある象の皺 紀子 思うやうにボート進まず日短 とも 草幹おほひつくす苔かな鶏皮 夢 晴れてくるところみるみる鰯雲 昌子