●岸本尚毅作
人間は弁当が好き冬の雲
裸木のつぶさに苔の肌へかな
やはらかにコキと鳴る肩冬の雲
冬晴や日ざし明るく雲多く
広からぬ芝枯れてある座敷かな
草青し冬の日ざしにうちそよぎ
師走とはかくも静かや蟻が這ふ
●岸本尚毅特選
世田谷の小春の町に来てをりぬ 章
枝の影額にありて日向ぼこ 紀子
短日の日のあるうちの帰宅かな 定生
鳥小屋の中の巣箱や冬ぬくし 昌子
胸はつて姿勢よき犬冬木立 美緒
灯下なる革のコートに雨の粒 定生
広縁をゆくひとありて枯木宿 喜代子
植替へてある葉牡丹の小さかり 章
学校は古く冬木は育ちけり 定生
日の当る冬の水にも馬臭かな 八江
鴉鳴く冬の三時の日ざしかな 美緒
尚毅選
外套を脱いで明るき椅子に読む 八江
座布団の薄くて小さき冬座敷 章
常磐木に固き冬芽の立つことも 董子
残る葉を鳴らすことなき冬日和 八江
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