ぼくらは何も求めません、罪びとを庇ってくださる聖母マリアさま、
あなたがお与えになる試練の場の末席に居させていただく他には
ぼくらの悲惨な歴史を長い間嘆き続けるため
あなたの輝く若々しさを遠くから見つめ続けるため


究極の手紙は、祈りの形を取るでしょう。そして詩人とは人びとの思いに言葉を与える人です。ジャンヌ・ダルクの伝説の最も色濃い街オルレアンに生れたペギーは、この聖人をほめたたえる長詩以外に、5世紀にパリをアッティラ来襲から守った聖者ジュヌビエーブほか、イブやマリアなどへも、頌歌を作っています。第1次世界大戦で戦死した熱血の愛国詩人の、リタニーふうの長詩は、読んでいると、目まいのような陶酔感を覚えます。
上の4行は「ボース平野をシャルトル大聖堂に捧げる詩」の最終連で、訳は倉田清氏の角川文庫版『世界反戦詩集』を参考にしました。倉田氏の解説によれば、ナチの強制収容所の壁に、マリアの像とペギーのこの4行を、爪で彫りつけた人がいたそうです。
フランスの学校では、詩の暗誦が盛んに教えられるそうですから、万一、人生の途上で大きな危機に遭遇したときに、たった一人で心の拠りどころとなるものを持っていることが、その民族の文化なのだろうと、胸を打たれます。
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