I come from Alabama,
Wid my banjo on my knee.
I’m goin’ to Louisiana,
My true love for to see,
It rain’d all night the day I left,
The weather it was dry,
The sun so hot I froze to death,
Susanna, don’t you cry.
Oh! Susanna oh don’t you cry for me,
I’ve come from Alabama,
Wid my banjo on my knee.
スティーブン・フォスター 「Oh! Susanna」より
これぐらいの英語なら日本の読者にも問題ないでしょう。黒人訛りの混じった英語でこその名曲かもしれません。フォスターはご承知の通り、19世紀半ばのアメリカ北部、ピッツバーグに近い町生れのソングライターで、20年ほどの活動期間中のほぼ200曲の大部分は言葉とメロディーが一体で切り離せないものでした。ニューヨークに出た最後の12年ほどは別の人と歌詞を組んだ曲も多くなりましたが、自分自身の言葉をのせた親しみやすいメロディーこそフォスターの真骨頂だと思います。私はフランス語を18歳で大学に入ってから始め、いらいずっとフランスの詩に寄り添ってきましたが、どうも根っこには、子供の頃肌で覚えたフォスターのメロディーが流れているようです。学校で習ったのではなく、日本の童謡といっしょに少女雑誌やその他の遊びの世界から幼い心に刻み込まれた懐かしい歌。♪わたしゃアラバマからルイジアナへ、バンジョーを持って出かけたところです/降るかと思えば日でり続き/旅は辛いけど泣くのじゃない♪と、「おお、スザンナ」の出だしを、ルイジアナへ行くのは自分のような気持で歌っていました。この歌の恋人スザンナは架空の人で、ラブレターの書き手はまだスザンナに会ってもいないのです。バンジヨー一本抱いて、町から町へ渡り歩いて行く青年の、人生の到達点は、パイをくわえて丘を駆け下りてくるスザンナ。彼女に出会えなければ死んでしまうだろう。でも、スザンナ、ぼくのために泣いちゃダメだ、そうやってホントのものを探し続けることこそぼくの人生なんだから。
アメリカのこの田舎の匂いは、他の地域、他の言語の心にもスーッと沁みこみます。フォスターはわずか37歳でマンハッタンの安ホテルで貧窮のうちに亡くなったそうです。ランボーやシューベルトや…若くて死んだ人たちがほとんど無償で生んだ詩が、「ケンタッキーのわが家」も「金髪のジェニー」も、ずっと人の心を潤し続けるでしょう。
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