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![]() 川口晴美 2巡めトップバッターの川口です。 最初(7/5〜14)よりは多少気持ちに余裕ができましたが やっぱり緊張しています。これから10日間どうぞよろしく。 梅雨はまだ明けていないのに ひどく暑い陽射しの下 今日は仕事で池袋へ行きました。 池袋は私にとってあまりなじみのない街です。 新宿や渋谷と同じように大きなターミナル駅だし サンシャインやジュンク堂や今はなきセゾン美術館など 繰り返し行った場所はいくつかあるのですが。 そういえば東京に住み始めた大学生の頃 定期で行けるところまでしか行動範囲がなく せいぜい友だちが住んでいる沿線に出かけるくらい たまに映画や飲みに行くのも新宿とか渋谷だったから 友人たちと 「池袋あたりに滝があって世界はそこで終わっているんだ」 と冗談を言いあっていたのでした。 就職活動のために地下鉄路線図を体で覚えてから 行動範囲が広がって知らない場所へ行くのが楽しくなり 今もそうですが街から街へよく歩くようになりました。 ひとりで だれも私を知っているひとのいない通りを だれでもない半透明のものになって街に溶けたみたいに漂い歩くと 果てはないようでした。世界にも、私にも。 詩を書いていて 言葉から言葉へとたどってゆくときも ひとりで 果てがないなあという気がします。楽しいけど、こわい。 ここまで、この先はもうありません、という区切りがあれば 「世界」も「私」もわかりやすくなるかもしれません。 でも、滝はどこにもない。 池袋では、滝のかわりに梟(いけふくろう)に出会いました。 ちょっとだけ、街になじんだ気持ちがしました。 |
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![]() 薦田愛 7月31日(火)、8月31日(金)の両日 朗読会をおこないます。 ひとりきりでおよそ1時間〜1時間半ほど、 自身のテキストを声にのせる。 この1月から4度、 3冊の詩集を はじめからすべて あるいはさまよいあるくようにあれこれ 読み続けてきました。 前の項のような即興的なものではなく、 詩集に収めたものばかりを これまでは読みました。 つくりあげていく途上に いつも声は介在しているので 朗読といっても、 さまで新規な経験とは思いませんでしたが。 つづけざまによんでいくことであらわになることがある。 (おおくは言葉のよわさ) つづけざまによんでいくことであらわになることがある。 (おおくはにくたいの限界) そして、あらわになったとて すぐさまなにがしか ちがうどこかへ うつりゆけるはずもなく。 身にこたえる時間の感覚、言葉の、オンの質、 おもうにまかせない自身の肉体、 対面する人々との距て、心的な、物理的な。 このテラスと並行して 言葉に、詩に、文字に向き合う手立てを もつことのできる幸運を思います。 両日の会について。 19時開演、有料(ドリンク等、なし)です。 が、ひと夜ごとの、替えがたいスリルを おいでになった方は、お持ち帰りになるはず。 詳細はギャルリー東京ユマニテのHP Link あるいは、朗読会のシリーズを主宰している 天童大人氏のHPなどで ご覧になってください。 このシリーズでは多くの詩人たちが自作を読んでいます。 会場はユマニテ以外のこともあります。 言葉や声、詩などに関心を寄せておられる方には 一度お出かけになることをおすすめします。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ さて、日付も変わったようです。 いささか遅刻して始まったこのクールも終わり。 日差しも強くなってきたことですから 一度テラスから室内に戻って 昼寝でもさせていただくことにいたしましょう。 |
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![]() れきだんのあと なめるあしのゆび てついろにそまる 薦田愛 夜半、と 打鍵しながら ヤオハン、へとつらなる 行き/遺棄はしない、のに。 たたずまいをしらない、ノニ したたる おとのゆくすえを しっている さやけくもbusyなチャンスは (こ)われていて (もとめるくつさきほころびるいらだちのほしょく) きりそろえるはくしょくとうぎんぎつねのつがうにちようあさ いちばんのこうぶつは すてっきだ きつねのすてっき きれい うらぶれひるがえるぎんぎつねのみみ したる したたる ヤオハンののきさきへのちょうやく くもりもたらすあわだつぼいんの にくずれをみきりたい きみは みぎへみぎへとおれまがるつうろをきらって のがれられない夜半ひたぶる るりびたきの名をおぼえ おりまげるずかんのページに しらない、と かきつける つつばれぬきらがなの ととはない こなづねの つかねかた くくりかた とはれ いき ともにいる なすのにおいの さっぱさっぱ こげていくりんかく ちりさける いんしまがりおれる かどかどの はしらはしらの しょうじょうの ぬめ ねまの たなごころ たはぶれぬ いきづかい とおとおとあかねば のがれえぬ つうろ おりかえし くりあげくれはて ぎんぎつねふるえるおのいろばかり はくしょくとうに うたせて うずたかいつちくれのかげへと のがれたいみみのかたむき に ふれてみる |
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![]() うららなそらにも KOMODAMEGUMI |
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![]() 秋がくればうしなわれる建物の 仰ぎ見る位置 見開かれている光のまなざし 薦田愛 |
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![]() こもだめぐみ ***雨がちな空には、 いっそまぶしさが待たれる。 週末の隅田川花火が気がかりな 下町の住人。 |
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![]() 薦田愛 中越沖地震の前日夕暮れ時、信州沓掛の山中で撮影。 しろくわだかまるかたまりからのびているのは、 飛行機のそれ、ではなさそうであった。 * 不穏なるものはそこかしこにひそんでいる。 意味を被覆するすべとしていまこれを かながきにすればたちまち、 まぎれこむ、すくなくない、ことやらものやら。 毀つ、と書けばぎざついているが こぼつ、となぞればお茶の一滴がよごしてうまれる 卓布のしみくらいのことににて。 そんなしだいでわたくしは、 ながく ×(だめ)と毀つ(めぐ)といういみをかくした名を負って いきてきたみちのりを告白する。 ええ。 わたくしはりっぱに もだめカンタービレ、でもある。 ふっとふれたあれこれを (かたちあるものも、めにみえないそれさえも) 愛憎のいかんにかかわりなく 破壊してしまうのではないか、と ひとり居のこころもとなさのなか きりもなく おそれながら。 ※※※ みもふたもなくねむりこけるいちにち 身体ひとつぶんのことばさえ こえることのかたい日 まぬかれようもない光に射ぬかれて |
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![]() 薦田愛 学生から会社員への潜り戸を通りかけていたころ 芝居というものに出あった。 演劇の、メッカ、という言い方を今でもするかどうかわからないが そんなふうにひところ呼ばれていた下北沢の街に 本多劇場という小屋ができた頃のこと。 そう、こけら落とし三部作と称してかけられた作品が 次々にテレビ放送されもしていた、 夢のような日々。 大学の構内でかかっている芝居に行くより早く 本多劇場に出かけた。 ちいさな偶然に導かれて。 やがてアングラと歌舞伎を続けざまに観て 未消化の心地よい混沌におぼれる体たらくとなる。 半券のウラに書き留めた稚い感想、 観ることの叶わなかった作品のちらしのファイル、 飲み込みきれない熱い言葉の詰まった演劇誌、 並行して学びはじめた現代詩と、 それはまことにしっくりくる取り合わせとして 未熟な人間の心身を造っていく。 舞台を観るより早く 開けてしまった世界、ある劇団の。 ひらたくいえばワークショップ形式でおこなわれていた 講座をうけはじめる。 「転形劇場」の 役者であるひとと演出助手をつとめるひととの、 小ぢんまりとした教室。 ややあって出かけた山王のアトリエ。 その後よく訪ねた氷川台のスタジオ。 太田省吾さん率いるその集団に 大杉漣さんも枝元なほみさんも いらしたのだ。 (あとさきになってしまったけれど 教室で教えてくださっていたのは 敬愛する品川徹さんだった) 無言劇と称する 極端にせりふを排した作品では 2時間ほどのあいだに 20人を超えるひとびとの人生がひもとかれてゆく。 言葉が駆使される時でも たとえば 表情と気持ちがはぐれてしまった人物が叫んでいたり 恍惚境にある老いたひとの幻想として 演じられる断章に 噛みあわないやりとりが ちりばめられていたりした。 そのひとが逝った。 その太田省吾さんが亡くなった。 遅すぎる観客である私はむろん 太田さんを遠くから見ていたにすぎない。 劇団のひとびとが観客との交流をもつ 終演後のホールでも たぶんほんの一度くらいご挨拶を したことがあったか、なかったか、というくらいの。 訃報を読んでおどろく。 あれほど研ぎ澄まされ成熟した世界を紡いでいたひとは あのころ まだ、40代の半ばにさしかかるくらいだったのだ。 しろいはなにみいりながらけさ 太田さんの舞台の ことばではなくつたえるにくたいの雄弁や なにひとつまとわないにくたいの清冽を ふかくおもいおこそうとしている。 ☆ ☆ ☆ ちなみに、 本多劇場の「こけら落とし三部作」、とは――? 『秘密の花園』と『イカルガの祀り』は思い出せるが、 もうひとつを失念。 なんてこと! 口惜しい…… 『秘密〜』は唐十郎さん作、 『イカルガ〜』は斎藤憐さん作、だったと思う。 『イカルガの祀り』は吉田日出子さん、斎藤晴彦さん、 今は亡き草野大吾さんも出ておられた。 そう、小日向文世さんも。 吉田日出子さんのちいさなにくたいが、 朝倉摂さんによる舞台装置の長い階段を登り詰めるにつれ おおきくおおきくみえるように感じられるのを 最後列の客席脇の階段に腰をおろしたまま 目を奪われたといっていいおもいで見つめ続けた。 |
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![]() KOMODAMEGUMI |
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![]() 薦田愛 仰ぐ位置への思いを誘う わかい葉のにおい さぐる(ま)さぐってしまう まなこ その 快楽あまりなくたちまち 鼻腔いっぱいにあふれ みちたりたそらへの ふんすい たちどころに音を伴って彼処から剥離する さんらん そばだてる耳の際をぬらす ぬれる皮膚におう(においたつ) しゅんかん ふれる(ま)さぐる まなこ その 結露するいとま すいぶん ふくらむ速度にむけて |
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