《十一月十五日》山粧ふ影燃え立ちて火の鳥に
寝不足で食欲がなかった。どうしてもちゃんとしたご飯を作る気になれなかった。だからクロワッサンを二つ、チョリソを少し、明太子のディップ、カマンベールチーズ、それにベビーリーフと市販の野菜スープ。そんなもので夕食をすませた。それだけ食べて「食欲がない」ってのはないんじゃないのと尋問されそうだが、実際そうだった。難しい味のものはめんどくさくて食べたくないって感じ。
著者略歴
１９７３北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』（第８回田中裕明賞）、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。
（ヘッダー写真：小津夜景）
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