《十一月二日》豊の秋子ども歌舞伎は声揃へ

歌舞伎の子役の節回しは独特で、棒読みのようにまっすぐなところが、とてもいい。
今さら、と言われるかもしれないけれど、この頃小さな子どもの声を聞くと、いいなぁと思うようになった。赤ちゃんの笑い声や言葉にならない頃の声を、ヒーリング音楽代わりに聞くと体にいいのではなかろうか。

著者略歴

藺草慶子(いぐさ・けいこ)

1959年東京都生まれ。大学時代、山口青邨に師事。現在「秀」「星の木」所属。句集に『鶴の邑』『野の琴』(第二十回俳人協会新人賞)『遠き木』『櫻翳』(第四回星野立子賞)がある。

 

 

 

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バックナンバー

  • 11月30日:の間に通され落葉掃く音す
  • 11月29日:八ツ手咲くてのひらほどの日だまりに
  • 11月28日:冬雲の動く扉の開くやうに
  • 11月27日:わづかなる水の夕映え枯蓮
  • 11月26日:大鷹の爪の押さへしもの動く
  • 11月25日:くさはらに何鳴いてゐる小六月
  • 11月24日:旅の荷を解けば雨音翁の忌
  • 11月23日:一湾に立つ白波や神の旅
  • 11月22日:枝打の枝が高きにぶら下がり
  • 11月21日:亡き人の隣りに坐り日向ぼこ
  • 11月20日:木の洞に別の木が生え冬うらら
  • 11月19日:浮寝鳥うす目をあけて流れをり
  • 11月18日:墓守の話好きなる小春かな
  • 11月17日:剪りつめて剪りつめて冬薔薇咲く
  • 11月16日:しがみつく葉の鳴りだしぬ枯柏
  • 11月15日:常磐木を雨の雫や七五三
  • 11月14日:会ふことは生くる力ぞ冬木立
  • 11月13日:ふつくらと手にひんやりと亥の子餅
  • 11月12日:冬の空返しきれざる恩深く
  • 11月11日:熊穴に入るともみえず瀬々の音
  • 11月10日:果樹園に雲を見てゐる冬はじめ
  • 11月9日:片脚の馬追にして枯れはじむ
  • 11月8日:てのひらにひらく袱紗や今朝の冬
  • 11月7日:引けば寄るくらやみ坂のからすうり
  • 11月6日:末枯れや紅白幕の中に声
  • 11月5日:実の形木々のかたちや暮の秋
  • 11月4日:秋の蝶日ざしの如く移りとび
  • 11月3日:冬近し雲を見るとは風を見る
  • 11月2日:豊の秋子ども歌舞伎は声揃へ
  • 11月1日:みづぎはのなほあかるくて残る虫

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