《四月二日(火)》そして今朝青いギターを肩にかけて息子はこの家を出ていつた

高校の入学式は一週間後。バスとJRで何度も往復したので、ひとりで長崎まで行けると言われた。

著者略歴

大口玲子(おおぐち・りょうこ)

1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量ハイリャン』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。

 

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 4月16日:春真昼問診視診触診ののちにトントン脚たたかれて
  • 4月15日:メール来て春深まりぬ「短歌日記出した?」と息子に心配されて
  • 4月14日:ひとり居てうるめいわしの丸干しの一尾食べればひとりにあらず
  • 4月13日:米、パスタ、麦茶も減らなくなり今夜息子は何を食べてゐるのか
  • 4月12日:花冷えの宮崎を発ち桜雨降れる夕べの浦上に居り
  • 4月11日:春昼を極彩色の凧あげてゆくこの風は海からの風
  • 4月10日:息子もいま朝の祈りをとなへゐむ同じ言葉で違ふ思ひに
  • 4月9日:子の声で語るイエスよ新入生代表誓ひの言葉のなかに
  • 4月8日:あつさりと息子は居なくなつてなほ犠牲の禁酒の味はひ続く
  • 4月7日:鍵かけてイエスの平和に巻き込まれまいとする夜を桜満開
  • 4月6日:ミサののちしずかにわれのもとに来てかけくれし声の低さを思ふ
  • 4月5日:これ以上ないほどの青さりながら息子の居ない宮崎の空
  • 4月4日:幼子が大人を真似て言へるとき「アーメン」まことにまことに光る
  • 4月3日:息子の居ない宮崎の春の空欄をあふるる言葉のごとくイペーは
  • 4月2日:そして今朝青いギターを肩にかけて息子はこの家を出ていつた
  • 4月1日:春の虹どなたがこんなにはつきりと見せたまふかと水辺に仰ぐ

俳句結社紹介

Twitter