《五月二日(木)》踏み込んで着地寸前で上げてゆく油圧マシンも定型である

フィットネスジムに通い始めた。

著者略歴

大口玲子(おおぐち・りょうこ)

1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量ハイリャン』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。

 

 

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バックナンバー

  • 5月22日:問診のため渡された鉛筆の芯ほそく尖りすぎてゐる朝
  • 5月21日:別れがたく語り合ひたるのち別れモッコウバラ咲く道を帰らむ
  • 5月20日:アヤメ科の濃きむらさきの花びらのギルボア・アイリスまつすぐ立てり
  • 5月19日:数日の激しかりし風を思ふとき言葉はわれを確かに満たす
  • 5月18日:鯵寿司のひかりをつまむ 散髪も定期テストも終へた息子と
  • 5月17日:聖母像に深き祈りをだれかささげ去りゆくまでを遠目に見たり
  • 5月16日:ほととぎす今朝はつきりと声あげて鳴いたコロスナヨつて聞こえた
  • 5月15日:古参竹の天ぷら細きを塩で食べ酒飲まず呵呵大笑の夜
  • 5月14日:きらきらと蚯蚓輝きわれよりも先に道路を渡りはじめぬ
  • 5月13日:鶯は不意に鳴きたりあこがれを言ひ当てられたるやうにときめく
  • 5月12日:今どんな空かと思ふ イエスが足を止めず歩きしガリラヤの地は
  • 5月11日:コロナ禍の息子に買ひしトランポリン息子を思ひ三分跳べり
  • 5月10日:自転車で夜を往けばニオイバンマツリ夜強くなる香りと思ふ
  • 5月9日:はつなつの紫が白へ変はりゆき花は手放さず毒も香りも
  • 5月8日:標的となるかもしれぬ空港に確かめるニオイバンマツリの香
  • 5月7日:芍薬の白ほころびて息子には制服移行期間はじまる
  • 5月6日:息子といふ遊び相手も居なくなり佐土原のくぢらのぼり見にゆく
  • 5月5日:選ばれたその日を知らずぼうたんは白選びたるよろこびに咲く
  • 5月4日:ともに見し記憶のほたるも混じりつつかすかに濡れて今年の水辺
  • 5月3日:日向夏みづみづと実る重たさに「明らかに違憲です」と告ぐべし
  • 5月2日:踏み込んで着地寸前で上げてゆく油圧マシンも定型である
  • 5月1日:長く漁師を続けしのちに青年が選びたる十字架と仰ぎ見つ

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