《六月二日(日)》渡されてわれにひとつの問ひとなるパンかマスクを外して食べる

一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えて言われた。「取りなさい。これはわたしの体である。」

(マルコ14・22)

二〇二四年六月一日の歌に表記ミスがありました。お詫びして再掲載いたします。大変失礼いたしました。

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著者略歴

大口玲子(おおぐち・りょうこ)

1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量ハイリャン』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。

 

 

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バックナンバー

  • 6月20日:自転車で梅雨の晴れ間を行きたれど夕べのミサに潤ふわれは
  • 6月19日:ガリラヤのオリーブオイルにズッキーニの黄とゴーヤの緑いためて
  • 6月18日:雨に濡れコンクリートを食べてゐるかたつむりわれはメロンを食べる
  • 6月17日:十字架の上には夏の雲ありてそのさらに上へ心向けたり
  • 6月16日:はつ夏のわれには未知の種となり子は日曜の夜を眠らむ
  • 6月15日:国家とはやはらかく鋭き棘なのか「アンネのバラ」のつぼみ数へて
  • 6月14日:一声の鋭さが棘となり刺さる真昼不遜のわれ翳りたり
  • 6月13日:水筒にどくだみ茶入れてきた午後の油圧マシンの孤独に触れる
  • 6月12日:「虎に翼」見るのかわれらの上告を「不受理」と決めた裁判官も
  • 6月11日:ダンスパーティーと名付けられたること如何に受けとめてゐむこのあぢさゐは
  • 6月10日:代案を切り出さむけれどその前に牛蒡のポタージュひとくち飲んで
  • 6月9日:母であること揺らぎつつ推し量るイエスの母であるといふこと
  • 6月8日:くちなしの香を深く吸ひ留め置かむイエスのみ心聖母のみ心
  • 6月7日:むらさきのため息ついてゐるやうなアガパンサスをひた濡らす雨
  • 6月6日:立ち尽くすのみの可愛いコックさん六月六日に雨降りつづく
  • 6月5日:長崎の息子のぶんも食べてゐるスイートコーンのみの朝ごはん
  • 6月4日:目を細め息子は立てり行かざりし雲仙殉教祭の写真に
  • 6月3日:ホトトギス鳴きやめば不意に長崎の息子が弾けるオルガン聞こゆ
  • 6月2日:渡されてわれにひとつの問ひとなるパンかマスクを外して食べる
  • 6月1日:〈しろくま〉を強く薦める 震災ののちの私を知らない人に

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