《七月七日(日)》やうやくにつくづく弱い自分見え五十代あと五年がのこる

わたしは弱さ、侮辱、窮乏、迫害、そして行き詰まりの状態にあっても、キリストのために満足しています。なぜなら、わたしは弱いときにこそ強いからです。

(コリントの信徒への手紙二 12・10)

著者略歴

大口玲子(おおぐち・りょうこ)

1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量ハイリャン』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。

 

 

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バックナンバー

  • 7月21日:猛暑日を奮闘すれば報告をしたきひとりを心に持てり
  • 7月20日:エコバッグに森崎和江の本入れて夏休みを待つ心ふくらむ
  • 7月19日:自転車で言ふひとりごと早場米の稲穂濃く匂ふ道を行きつつ
  • 7月18日:未熟といふほかなき二十五歳のわれがゐる空心菜の穴を覗けば
  • 7月17日:怒りつつ早口で話す妹の電話から猫の声が聞こえて
  • 7月16日:性格がよいこと喧嘩が強いことどちらも大事と着るアロハシャツ
  • 7月15日:藁焼きのビンチョウマグロを解凍し海の日海を見にゆかず過ぐ
  • 7月14日:旅支度せずに出掛けてゆくならばいづこに誰とパンを分かたむ
  • 7月13日:きんいろの美しき翅脈をあふむけの蟬はゆつくり見せてくれたり
  • 7月12日:蓴菜の茶碗蒸しに匙入れて聞く裁判員制度、死刑のはなし
  • 7月11日:東京のホテルにすくふ白粥の白に消えたり岩塩の白
  • 7月10日:永田町をゆきつつわれが隠し持つ晴雨兼用折り畳み傘
  • 7月9日:ふるさとと呼ぶべきなのか知事選を終へたばかりの東京に来つ
  • 7月8日:ブルーベリー奥歯につぶしたる真昼獄中書簡の続きを読めり
  • 7月7日:やうやくにつくづく弱い自分見え五十代あと五年がのこる
  • 7月6日:蓮の花せつに見たしと思ひつつ目薬ぽちりと落とす夏暁
  • 7月5日:新しいサンダルに素足入れるときたましひも細くなりて入りゆく
  • 7月4日:白髪のキョンキョンが来る宮崎は猛暑日 日傘をまはしつつゆく
  • 7月3日:西南西、風力4の風が来て日焼け止めにほふ頬なでてゆく
  • 7月2日:カタカナの霊名ならぶ志願院からの手紙に西瓜の切手
  • 7月1日:自転車の充電を待ち夜を待ち伏目がちに来る雨を待つなり

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