《十二月十二日(木)》猫抱いて冬の夜を眠るさいはひを知らずのびのびひとりの眠り

さすがに宮崎でも最低気温が0度に近くなってきて、毎晩湯たんぽを足元に入れて寝るようになった。従来のお湯を入れる湯たんぽと、電気で温める猫の湯たんぽ。猫のほうは、誕生日に夫と息子がプレゼントしてくれたもの。両方を同時に使ってぬくぬくと眠っている。

著者略歴

大口玲子(おおぐち・りょうこ)

1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量ハイリャン』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。

 

 

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バックナンバー

  • 12月12日:猫抱いて冬の夜を眠るさいはひを知らずのびのびひとりの眠り
  • 12月11日:ゆるさざりしことのいくつかあきらかにあれば冷たき水を飲みほす
  • 12月10日:霧島山見つつ来て山に腰掛ける弥五郎どんに会はずに帰る
  • 12月9日:血を流すことなく抗ひ得るものか見なかつた知らなかつたと声は
  • 12月8日:渇きつつ待つことの恵みはろばろと息子にとつての荒れ野は在らむ
  • 12月7日:化粧して長崎駅に降り立てばしんと静かな母親となる
  • 12月6日:向けられた銃をつかみたるその女の度胸ではなく知性を思ふ 
  • 12月5日:長崎に息子眠りてわれも眠り戒厳令の夜を降る雪
  • 12月4日:日曜の聖書朗読当番を忘れたる夢に蟹は走れる
  • 12月3日:風に心をひるがへしつつ宣教のために立ちたるいくつの港
  • 12月2日:国と国との約束を綴ぢし朱の封蝋に人の指先は見ゆ
  • 12月1日:五時半に起きて祈れる子を思ひ冬の朝の窓を開けたり

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