
《三月八日》鱗屑を背におぼろ夜をおよぐなり
これは、シダラン族の文字観とよく似ている。彼らにとって文字とは、時間でありながらも時間の流れに属さないものだった。時間の遊泳者である真空魚の身から剝がれ、あてどなくさまよううろこ。雲を喰うという行為は、それを口に含み、何かを掴んだつもりになることだ。でも、それは時間そのものではなく、その塵にすぎない。喰えば喰うほど、真空魚と一体となった空の広がりがわからなくなる。
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これは、シダラン族の文字観とよく似ている。彼らにとって文字とは、時間でありながらも時間の流れに属さないものだった。時間の遊泳者である真空魚の身から剝がれ、あてどなくさまよううろこ。雲を喰うという行為は、それを口に含み、何かを掴んだつもりになることだ。でも、それは時間そのものではなく、その塵にすぎない。喰えば喰うほど、真空魚と一体となった空の広がりがわからなくなる。
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