
《四月十三日》ファドのなき枝のさくらが夜を照らす
夜道、飲みすぎた観光客らしい男が街路樹に抱きついて、白い花を頭にのっけていた。かと思うと、男は急に笑って、坂をふらふら下っていった。ベンチにはビールの空き缶が三本。花は街灯に照らされて、たいして咲いてるふうでもないのに、そこだけ妙に明るかった。近くの家から、小さく音楽が鳴っていた。ニースの夜は、だいたいそんな感じで回っている。
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夜道、飲みすぎた観光客らしい男が街路樹に抱きついて、白い花を頭にのっけていた。かと思うと、男は急に笑って、坂をふらふら下っていった。ベンチにはビールの空き缶が三本。花は街灯に照らされて、たいして咲いてるふうでもないのに、そこだけ妙に明るかった。近くの家から、小さく音楽が鳴っていた。ニースの夜は、だいたいそんな感じで回っている。
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